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靴を作るのだ(その2)

靴を作るのだ

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その8


 

たとえばSHOさんはハードシューズの段差を気にしてFay'sでそれを埋める改造をした。moriyはかつてゴムの板を張ることでそれをごまかした(このへんに性格が出る)。

ほかに例を知らないので何とも言えないのだけれど、少なくともタップダンス経験者にとって、Jig Shoes(Hard Shoes)のトゥピース後ろの段差は少なからぬ違和感になると思われる。どーにかできないものか。



モダンなアイリッシュでなにがカッコいいってあのフロントクリック。「Riverdance」でも「LOTD」でもキメ技として使われ、劇団☆新感線も魅了されたあの空中での打撃音!

これ、タップシューズでも出そうと思えばできるんですけれども、ボリューム小さいし「チャッ!」ていう硬い金属音なんですよね。やっぱあの「カンッ!」っていう気持ちのいい音を出したい。



そこでわれらがマイケルおじさんのこと。この人の履いてる靴ってこんなのなんですよね。


公演パンフより拝借。Web上にもあるのかな)

見た目タップシューズ、だけどヒールは固く、高く作られている。白い部分はたぶん塩ビ。TapsはおそらくCapezioのTeletone。ソールは厚め。アイリッシュなタップシューズ。段差問題もなく、なおかつヒールクリックが出来る夢のシューズ!

革や縫製の丈夫さでいったらアイリッシュのハードシューズの方がよっぽど上だと思うのだけれど、マイケルおじさまはRiverdance以前からこのタップシューズ系の靴を履いている。実際、この靴って消耗が激しいらしくて、マイケルさまは練習用の重めのものと舞台用の軽いものを一度に何足も注文されるそうな(これもたぶんFREEDの特注品)。ボロボロになった靴はあとでチャリティオークションに出してたりもするらしい。(そういやどっかでEileen Martin姫さまの衣装ってのもあったな。誰が買ったんだろう・・・また脱線)

で、タップシューズベースの靴を履いている本当の理由は知らないけれど、やっぱりトゥピースの大きさと段差ってけっこう気になっているのではないかな。とにかくもmoriyとしてはミーハー半分、段差問題半分で、こういう靴がほしいわけです。こういうのを普通のタップダンサーが履いたら面白いのになあ。いろんなクリック技が開発されるような気がするのはわたしだけ?



さて、とりあえずタップシューズのオーダーといえばここ、浅草橋の大木シューズさんにボロボロなRutherfordを持っていく。



「タップシューズでこういうヒールのヤツって作れませんかね?」
と、Rutherfordを見せる。

「・・・これはなんなの?」

これこれこういうわけで、と説明は省略。

「ふーん・・・これ(ヒールピース)はこういう素材のものがあるのね」

「はい」

「ずいぶんちっちゃいのねえ」

「・・・はい」

Rutherfordのヒールは他社比で大きめなんですけれど、タップシューズ一般から比べたら接地面積がかなり小さい。

大木シューズさんの場合、というかどこでもそうなんでしょうけど、サイズごとに標準的な足型(金型)というのがあって、普通のタップシューズの場合、それで革をガチャンと打ち抜いて、それをソールにし、さらに同じような型で短い革をいくつも打ち抜いて接着剤で積層にして、それがヒールになるんだそうです。


革の積層部分のアップ

だから、仮に大きなファイバーのブロックが手に入ったとしても、同じやり方では刃が持つとは思えず、靴に合うようなサイズに加工できるかわからない。そういうことです。

「作りがよくわからないから出来るかどうかわかんないわね」

「あ、これどうぞ。壊そうが何しようがかまいませんから」
と、ボロRutherfordを渡す。

「この部分(ヒールピース)は手にはいるのね?」

「たぶん・・・。メーカーに聞いてみます。なんならこの靴のヒール取り外してくっつけちゃっても」

「でもサイズが小さいからねえ」

てな感じでとりあえず1回目の訪問はおわり。



さっそくRutherfordにメール。

「ヒールピースだけ売ってもらうことってできますか?」

すると例のTinaさんからメール。

「どうしたの!? あなたの靴になにかマズいことがあったの!?」

いや、そういう話ではないんですが・・・



(まだまだつづく)



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