ここがポイント
ニューヨークはラジオシティでの公演。プリンシパルはColin DunneとJean Butler。ダンス・演奏・演出・客・ビデオとしての出来、どれをとっても現在のベストではないかと。
内容の概要
ACT1は、太陽・母性(地母神)・火・雷などをモチーフにした、いわば人の内面、心の根源をたどる旅。
ACT2は、もっと具体的に、故郷を離れた人々が新天地へ渡り、さまざまな人と出会い、ぶつかり合い、そしていつか故郷に帰ってくる道すじをたどります。
- オープニング
スローエア「Corona」の流れる中、マンハッタンの夜景をバックに浮かんでは消えるキャストの面々。今回は各演目の冒頭に渋い声の男声ナレーションが入ります。
- Reel around the Sun
ダブリン版「the Show」に比べると、衣装も、照明も格段に良くなってますね。カメラワークについては、足もとのアップが少なくなったので、ステップを見たい人にはちょっと不満かもしれません。
で、Colin Dunne颯爽と登場・・・なんですけど、Michael Flatleyとおなじことやっても、かなわないんですよね。自分のキャラクターになってないというか。腕をくるくる回したりするのってこの人のスタイルじゃないような気がします。
ところで。この曲で板付きのダンサーは20人いたはずなんですけど、曲が終わって、舞台袖にはけるダンサーはColin Dunneをふくめて20人になってるんですよね。ダンサーがひとり減ってるんです。どうして?
- The Hearts Cry
The Riverdance Singersが黒のビロードっぽい衣装で、ロウソクを手に持って登場。うーん、照明が良い。
- Women of Ireland(The Countess Cathleen, The Women of the
Sidhe)
さあ、おまちかねJean Butler姫のおでまし。ちょっと元気ないような気もするけど余裕のステップですかね。きれーだなー・・・
途中ロシアン・フォークの男性陣とハードシューズの女性陣が張り合うシーンで感じるのは女という性の強さ・激しさ。アイルランドの家庭は女性が強いって聞きますけど・・・
- Caoineadh Cu Chulaine
イリアン・パイプスはBrian O'Brienさん。ひとりで注目を浴びる時間で言えば意外とこの人が長いんですよ。ソロでずーっとスポット浴びて。(一番長いのはたぶんMaria
Pagesさんですね、こんど計ってみようかな)
- Thunderstorm
誰が決めたのか知らないけど、Colin Dunneは出ないんです。代わってリーダーになるのはPat Roddyさん。この人のほうがColinさんより精悍な感じでいいですね。彼だけ革のパンツです。
- Firedance
公演プログラム見ると、この演目の前にMoscow Fork Ballet Companyの「Shivna」という曲が入るんですが、この日は無かったのか、編集されちゃったのか、よくわかりません。ちなみにShivnaとは、聖人にたてついて、呪いによって木の枝に閉じこめられてしまった伝説上の首長の名前なんだとか。
さて、「姉御」って呼びたいMaria Pages。真っ赤なドレスで堂々たるパフォーマンス。文句なし。よっ、たっぷり!
- Slip into Spring - The Harvest
バンド陣の大活躍。曲名のとおり、ギターと蛇腹の春っぽいぽかぽかっとした曲から、フィドルとパーカッションが激しくぶつかり合うお祭り騒ぎへ。
ここはもうなんといっても青いフィドルのEileen Iversさんでしょう。ヴァイオリンってこんな音出せたの(もちろんエフェクターとアンプ通してるんですけど)ってくらい表情豊かですよね。
で、そういう音を出しながら走り回る、叫ぶ、足を踏みならす、パーッカッションにちょっかい出す・・・ほかのメンバーはうらやましかったろうなあ(フィドル以外に走り回れる楽器ってありましたっけ?)。
- Riverdance
ひとしきり騒いだあとにAnunaのKatie McMahonさんのすきとほった涼しい歌声。("Cloudsong")
Cloudsongによって川の精Riverwomanが現れます。Jean Butlerのコウモリ(だかなんだかわかりませんが)的登場もうまくいってます。これも照明のあて方のような気がします。ダブリン版だとなんか安っぽい感じしましたもんね。髪をかき上げる動作がなんか不自然な感じだったのがなくなりました。それにしても、きれーだなー・・・・・・月並みだけど、蝶が舞っているみたい。
Riverwomanは続いて大地の躍動を呼び起こします。Colin Dunneのハードシューズでのソロ、「Earthrise」です。Colinさんは白よかブルー着たほうが似合いますね。
- American Wake
ACT2は「American Wake」で幕開け。アイルランドの人たちが、アメリカに渡るときに開いたというお通夜(Wake)。アメリカに行ったら、もう帰ってくることはないってことなんでしょう。
なんていうか、「かごめかごめ」みたいですね。「歌垣」ってこんな感じだったのかなあ、とか思ったりして。これ「Nova Scotia
Set」っていう踊りなんだそうです。Nova Scotiaってカナダじゃなかったっけ・・・いつの間にか海を渡っている?
- Lift the Wings
KatieさんとMorgan Crowleyさんによる別れの歌。・・・あんまりいろいろ書くと野暮になるんでやめときますが、最後のですね、二人のキスの瞬間に、「ヒューッ!」とやったお客さんはいいお客さんだと思います。
ダブリン版と同様、プリンシパルの二人が出てきて、退場するんですが、今回はちゃんと意味ができてますよね。別れる二人を見守る役ってことで。
- Heal Their Hearts - Freedom
ダブリン版ではハンドマイクで歌番組風だったコーラスも、今回はピンマイクのIvan Thomasさんの、足を大地にしっかり踏みしめた姿勢での独唱+Singers
& Dancersの合唱で、いい雰囲気だしてます。
ひとり孤独に新天地に降り立った移民が、同じ境遇の仲間たちと結びつきを深めていく・・・という感じですね。
- Trading Taps
新天地ではさまざまな文化的背景を持った人々がぶつかり合う。この街角でも・・・。
というわけで、アイリッシュ対アフリカン・アメリカンの場合。
この曲だけ「振付:Colin Dunne」なんですよね。のびのびしたColinくんが見れます(^_^)。
フィドルとサックス、アイリッシュモダンステップとタップ、この4者が入り乱れていい勝負を見せてくれます。ただここでも、ColinさんがDaniel&Tarikのタップコンビに食われてる感じするんですよねー。個人的にはColinさんやPatさんのおすまし顔が好きなんですけど・・・。なんだか転校してきた優等生が悪ガキに遊んでもらっているような・・・っていうとちょっと言い過ぎかな。
くり返しますけど、わたしはColinさん大好きなんですよ。
「Lord of the Dance」との比較でいえば、こういう音楽とダンスのコンビネーションがうまくいっているのが「Riverdance」の特徴ですね。「LOTD」だと、ダンスはダンス、歌は歌、楽器は楽器というつくりになってますから。それをつまらないと見るか、舞台として洗練されていると見るかは人それぞれでしょうが。
- Morning in Macedonia(The Russian Dervish)
新天地には、東欧からも人々がやってきた。
Moscow Fork Ballet Companyの登場。
- Oscail an Doras(Open the Door)
liltingとバウロンと女性ダンサー陣のハードシューズによるダンス。ちらっと横顔がうつるのは現プリンシパルのEileen
Martin? たぶん出てるはずなんだけど、違うかなあ?
- Heartbeat of the World
暗転の中から浮かび上がるMaria Pagesの力強いダンス(顔の掘りの深さがよくわかりますね)。Colin Dunneとのからみもあるんですけど(この部分も彼が振付で入っているみたいです)、なんか・・・ねえ。
背伸びしてひげを伸ばしたりしたものの、年増女の情にのみこまれて身動きとれなくなっちゃうお人好しの若旦那って感じなんですよね、この人。
そこで現れるのがアメリカの女ガキ大将(^_^;)、Eileen Ivers。Maria姉さんのカスタネットとの相性も抜群、疾走するreel「Jenny's
Chickens(彼女のアルバム「wild blue」に入ってます)」で盛り上がります。
- Heartland
旅の終わり。
舞台は朝の光につつまれて、ふたたびなつかしい故郷へ。
- Riverdance International
二人のプリンシパルが舞台上下から登場。ダブリン版ではまずJean Butlerの部、つづいてMichael Flatleyの部と別々でしたが、かけ合いの方が楽しいですね。この部分のColin-Jeanコンビはバランスがとれてていい感じ。つづく2+30人のアカペラステップは圧巻ですな。
- エンディング
各演目のメドレー。ここで一番目立ってるのは、「Thunderstorm」の体育会系ダンサー陣に囲まれて、白い衣装であらわれるMaria
Pages。完全に会場の空気を掌握してます。カッコいいことこの上なし。
われらがJean姫もいちおうMoscow Fork Balletの面々をしたがえてるんですけど、Maria姉さんの迫力には負けるかなあ・・・。ま、世界が違うから勝つも負けるも無いんですけど。
んー、なんかMaria PagesとEileen Iversのことばかり書いてるような気がするなあ。でもこの舞台、上の二人のための舞台のような気がしませんか? Jean姫はうまくできて当然だと思われてるし、Colin先生はMichael
Flatleyと比較される(キャラクター違うのに)プレッシャーがあったろうし。いちばん自由に出来たのが上の二人だったんじゃないかな。
入手方法
Airおすすめビデオリストに載せてます。
いまは画質のいい日本版ビデオやDVDが出ているので入手しやすいですね。
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