コラム:復活・Air的リバーダンス関連用語辞典(改訂中)
このサイトをより理解するための用語集。以前のバージョンをすこしずつ改訂していきます。
Sep. 20 2004(改訂版開始)
posted by moriy
有名人編
このWebサイトに関連した人の名前です。略称で書かれることも多いので注意。用語の追加希望はフォームからどうぞ。
- Bill Gates
- 世界でいちばん目端の利く人。MacユーザーやUnixユーザーだけでなく、Windowsユーザーからも悪く言われることが多いが、すごい人であることにかわりはない。
- 98年秋のコムデックスの基調講演で、MTVの「Celebrity Deathmatch」のなかでマイケル・フラットリーにボコボコにされる自分の人形の映像を流して大受けしたとか。「天才プログラマー」とか「敏腕経営者」より、いじめられっこのキャラのほうが受けることにようやく気づいたみたいですね。
- MTVのサイトには「Celebrity Deathmatch」のコーナー(NotFoundなのでarchive.orgのアーカイブへ)があって、QuickTimeとかで画像を見られるようになっているのですが、この「ビル・ゲイツ VS マイケル・フラットリー」の画像は残念ながら公開されていないようです。
- マイケル・フラットリーが元ボクサーであるということはネタの背景になっているのだろうか? 見たことのある人はぜひレポートを!!
(1998.11.29) - てなことを書いていたら、なんとこの人、自社マイクロソフトの企業ビデオで、Steve Ballmerと一緒に「Riverdance」のパロディーやってます。
- Newsweek日本版の1999年9月1日号の32ページにその画面の写真が4コマ載ってるんですけれども、ちゃんとあの開襟白シャツに黒パンツ、例のチャンピオンベルト(^_^;)をつけて跳んでます。
- これめっちゃ見たい!! マイクロソフトの関係者の方、もし読んでたら連絡ください!
(1999.9.5) - Michael Flatley(MF)
- 「Riverdance」の振付兼、初期のプリンシパルをつとめた、シカゴ出身のアイリッシュモダンステップ界のカリスマ。絶賛されるか毛嫌いされるかどっちかの人。わたしは大好きなんだけど、彼の「Lord of the Dance」が「Riverdance」より先に来日しなくて良かったと真剣に思う。
- 1998年春、1秒間に35回(!)というタップ速度のギネスレコードを申請。でもこういうことをするところがまた、玄人に嫌われる。かわいそうに。
(1998.11.14) - 1999年版のギネスブック見てたら、「Highest-paid Dancer(最もギャラが高いダンサー)」と「Highest-insured Legs(最も高額の保険がかかっている脚)」の項でMichaelオジさんが載ってました。ちなみにお値段の方はLOTDのギャラが週5万ポンド、保険が2,500万ポンドだそうで。タップに関する記録としては、「最も長時間」てのと「最も大人数」ていうのがありましたが、「最も高速」の項目はありませんでした。だれかと争ってる最中なんですかね?
(1999.1.6) - ギネスへの申請がどうなってるか知りませんが、Lord of the DanceのTroupe2出身のJames Devineという人(この人はいまGaelforce Danceという舞台のリードをやっているらしい。)が「秒速38タップ」を売りにしているそうな。あやうしマイケル伝説!?
(1999.9.5) - いったんは舞台から引っ込んだマイケルオジさん、「Feet Of Flames 2000」をひっさげて(ここらへんにもビル・ゲイツへの対抗心が見える)帰ってきました。
我らがマイケルさまはこのツアーの発表に際し、とんでもないスタントをやってのけたとIrish Dancing Magazineには載っています。場所は南ドイツのSatzvey Castleというところ。お城を取り囲む湖の底から、爆発の炎とともにマイケルさまが飛びだすという、引田天功も真っ青な趣向。お城の建物から湖の真ん中まで水中トンネルを設置し、マイケル様がトロッコに乗ってその中を滑っていくと、湖の中心にたどり着いた時点でバネがマイケル様を水面めがけて打ち出す、という仕組みだったんだそうです。もう、なんだかなぁ。 - で、そのIDMの記事についてる写真がまたすごい。暗闇の中、水面から10mくらいの高さに立ち上る炎をバックに、黒の革靴(もしかしてハードシューズ?)、革パンツに例の午後の紅茶ロイヤルミルクティー色(青地に金色の刺繍)のジャケットを、例のごとく素肌にじかに着たマイケル様が(心なしか腹筋の段々が薄くなったような気がする)、腕を大きく広げてニカッと笑っている。
- しかも青ジャケットの裏地には「MFMFMFMFMFMFMFMFMFMFMFMFM....」と「MF(Michael Flatley)」という文字の金色の刺繍がびっしり。小学生の頃、自分の持ち物には名前を書いておくようによく言われましたけど、マイケルさまほどの人になるとここまで徹底しているという・・・(^_^;)。
- 追記:Celtic Cafeにこのときの写真が載ってます(NONさん情報感謝です)。
(1999.11.18) - 参考:MF公式サイト
- James Devine
- Michael Flatleyから世界最速タップ男の称号を奪った男。1998年、21歳の時に1秒間に38タップを記録する。
- 7歳からダンスを始め、コンペティションでは14歳の時にWorld、American、British、 All-Ireland & Munsterの各タイトルを総なめにする。1996年にLOTDに参加、1998年からはGaelforce Danceの振り付け&出演。2004年現在は特にカンパニーには所属せず、個人的な活動をすすめている。
- MFに挑戦するだけあって、というかデザイン会社を運営していたりするためか、ビジュアル面にもこだわってる人ですな。公式サイトの「about -> HYPE」のコーナーの「Celebrity Deathmatch」ではMichaelを爆発に追い込んでます。
(2004.9.20) - 参考:James Devine公式サイト
作品編
ビデオになってたりなってなかったりしますが、ここ10年でずいぶん「Riverdance的」な作品が出てきたんですね。
- Feet of Flames(FOF)
- 1998年7月25日、ロンドンのハイドパークの特設会場で行われた「Lord of the Dance」の特別公演。Michael Flatleyの「Lord of the Dance」としての最後のステージ。
- 当時ツアーしていた2つのtroupe(一座・・・って訳すとちょっとイメージが崩れる。現在は3つのtroupeがある)が一堂に会した、イギリスで開催された史上最大人数のダンスショウだとか。なんでも一番が好きなのね、この人。
- イギリスのHKdarling氏によるとそろそろビデオも出回ってきたとか。レポート欲しいなー!
(1998.11.14) - FOFのビデオレポート、こっちに書きました。非常によいです。
(1999.9.5) - 参考:ERINさんのレポート
- 参考:しげさんのレポート
- Gaelforce Dance
- ほぼ同名のライブビデオとは無関係。
- Michael Durkanという人がプロデュースした、オーストラリア発のアイリッシュ・ダンス・ドラマ(ミュージカルと言うべきか?)。Lord of the Dance出身の世界最速タップ男、James Devineがリードをつとめる。オーストラリア、北米、ヨーロッパをツアー中。
- 大勢のDance Troupeがいて、ミュージシャン(もちろんフィドラーに見せ場もあって)、Anuna風の歌が所々に入って、というリバーダンス的趣向をそのままフォローしてる舞台だそうで、こちらの辛口の批評などは「〜みたいな」「どっかで見たような」という表現で埋め尽くされています(^_^;)。
-
以下、簡単なストーリーを上記のレビューを元にして書きます。
ある村に3人の兄弟(長男のPaul Noonan、次男のJames DevineはLOTD出身)が家族とともに住んでいた。ある日嵐が村を襲い、3人の兄弟を残してみな死んでしまう。
次男Jamesは肉体派のアマゾン風集団に出会い、長男は異教徒(Pagan・・・ギリシア・ローマ風ってことらしいんですが)に加わり、三男は放浪の旅へ。
で、いろいろあって、ある女の子を巡って2つの集団が争い、長男と次男が決闘しているところに三男が割って入り、ナイフが刺さって死んでしまう、と。けれどそれをきっかけに長男・次男とそれぞれの集団は和解する。(ほんにどっかで観たような・・・)
すると摩訶不思議、舞台中で死んだ人たちがみんな生き返ってハッピーエンド。
- とりあえずまあ、マイケルおじさんほどの存在感は望めないものの、James Devineのダンスはスゴイらしいです。
- ひらさんから、ドイツはデュッセルドルフでみつけたというポスターの画像いただきました。ありがとうございます。(この項inspired by ひらさんです)
(1999.9.12) -
日本に来るという話もあったんですが、いつの間にか消えてしまいました。2001年のオフ会で映像も見たんですが、あんまりぴんと来ませんでしたね・・。でも来日したら見に行くと思う(^_^;)。
(2004.9.19)
特殊な用語
いろんな場面で象徴的に使われる(使われた)言葉です。
- Creative Control(制作に関する監督権)
- Michaelオジさんの譲れない一線。
- 「Riverdance the Show」は自分の舞台なのだから、そこで自分が何をするか、どんな衣装を着るか、いつ踊るか、誰と踊るかは自分で決めるのだ、という主張です。(ということはJeanさまのこと、嫌いだったのね・・・)
- これが認められなきゃ契約更新しないぞ、と言ったらそのままRiverdanceをクビになってしまいましたとさ。
- そんなことがあったものだから、その後「Riverdance」に対抗して作った「Lord of the Dance」では、もう好き勝手・・・じゃないや、十分にCreative Controlを行使してます。そこがこの人らしくて面白いんですけどね。天才はこうでなくちゃ。
(1998.12.6) - 参考:『リバーダンスの軌跡』
- flatheads
- Michael Flatleyの熱狂的なファンのこと。主に「Lord of the Dance」オフィシャルサイトの掲示板に棲息し、そこで各地のライブ情報を交換しあい、追っかけとして飛びまわる。
- まあ、「フラットレーさまのことしか頭にない連中」くらいの意味でしょうか。(辞書的には「頭を平たくする習慣のあったアメリカインディアン」のことらしいんですが。)
- 余談ですが、The Times(97/1/18)によると、イギリスのマーガレット王女は大のFlatleyファンで、マイケルさまの「Riverdance」を4回も見たとか。
(1998.12.13) - jig shoes
- アイリッシュダンス関連の靴屋さんのカタログを見ると、チップのついた靴(ハードシューズ)をJig Shoes、一見ジャズシューズ風の靴をBoys Reelとか書いてあります。
- Jigは6/8とか12/8拍子、Reelは4/4拍子、といった音楽のスタイルのことなんですけど、それと靴の硬い・柔らかいと何の関係があるのでしょう。もちろん、Jig Shoesを履いてReelを踊っても、その逆でもぜんぜんかまわないはずなんですよ。
- で、そこがしばらく疑問だったんですけど、「Riverdance the Story」(Sam Smith,1996 Andre Deutsch)の11ページを読むと、18世紀、ソロのステップダンスが発展した時期、現在のreel、jig、hornpipeといった各スタイルの原型ができたそうなんですが、その当時のそれぞれのスタイルが、
「Jig」=「男性」=「激しいタップ」
「Reel」=「女性」=「優雅ですべるような動き」
だったそうな。 - おそらく現在の靴屋さんもそれをふまえて、タップ音を出すための靴をJig Shoes、男性用のソフトシューズをわざわざ「Boys」Reelと表しているのではないかと。
- さらに上の定義を展開すると、タップの創生期の話を読んでいて、「何某という黒人が居酒屋でジグを踊った」というような文章に出会ったときも、その「Jig」は曲の拍子だけでなく、タップ音を出すダンスのスタイルのことも指しているのだろう、と想像できたりするわけです。(実際どんなステップだったかは、もう誰にもわからないんでしょうけどね)
(1998.11.8) - Riverdance era(リバーダンス紀元)
- 1995年10月3日以前をB.F.、以後をA.F.という。
- 1995年10月3日というのは「Riverdance the Show」の、2回目のロンドン公演が開けた日です。(ちなみにダブリン初演は同年2月9日、ロンドン初演は6月6日。)プリンシパルのMichael Flatleyがクリエイティブ・コントロールをめぐって制作チームと対立し、開演前日になっても条件が折り合わなかったため、制作側は契約を更新しないことを決定しました。
- そんな中、頼みの綱の女性プリンシパル、Jean Butlerさまがリハーサル中に脚を痛めて松葉杖をつく状態となり、看板スターを2人とも欠いた「Riverdance the Show」はその歴史上最大の危機を迎えたワケです。
- 急遽Colin DunneさんとEileen Martinさまがプリンシパルをつとめることとなったのですが、看板ふたりがいないことで逆に残りのメンバーが奮起し、いつもにもましてすばらしい舞台になったそうな。
- また、このロンドン公演からは「Trading Taps」をはじめ、舞台内容に大幅な変更が加えられました。(ビデオで言えば「the New Show」の内容)
- この日の公演が、人事的にも、舞台内容の点でも大きな転機となったということで、これ以前をB.F.(Before Flatley)、これ以降をA.F.(After Flatley)といって区別するようになったとか。この言葉がどれだけ通用したかは知りませんが、初期のリバーダンスにおけるMichael Flatleyの存在感の大きさを示しているような気がしますね。
(1998.12.6) -
これ以降のRiverdanceは「特定のスターに頼らず、作品名自体をブランド化する」という戦略をすすめて成功しています。いっぽうでMichaelはそのカリスマ性を充分に発揮して孤軍奮闘、LOTD(FOF)というRiverdanceのすぐれたカウンターパートを作りだしていきました。10年たっても両作品とも現役なんですから、MFとRiverdance制作者(Bill WhelanやMoya Doherty、John McColgan)の偉大さを証明していますね。
(2004.9.19)
Air的?な言葉
ミーハーかつシャレの効くこのサイトの読者にはわかる(わかってもらいたい)ネタいろいろ。
- Liverdance
- このシャレは「Riverdance」誕生以降、もうイヤというくらい人々の口に上ったであろうまさに百万人ギャグ((c)浅草キッド)なんですけれども、なんとこのタイトルのスクリーンセーバーがあったりします。下記のリンクからお試し版がダウンロードできます。
(1.2MBのZipファイル。Windows版のみ)
R.I.SOFT SYSTEMS - で、どんな内容かというと、
・・・暗いステージにスポットが当たっていて、そこにLiver(肝臓)が、かたまりでベチャ、ベチャ、ベチャ、と落ちてくる。その肝臓はしばらくモゾモゾ、モゾモゾとしてたかと思うと、手足、目鼻がついて起きあがり、踊り始める。
製品版はもっと演奏時間が長いらしいんですけど、moriyとしてはまだ買う決心がつきません。
ただ、どの肝臓もちゃんと腰に手をあてて、それなりにアイリッシュっぽいステップを踏んでたりするのがスゴい。プリンシパルらしき真ん中のやつなんか、ニヤケ具合がMichael Flatleyそっくり!! パロディとしてレベルが高いことはたしかです。うげっ。
(1998.11.14) - 足パク
- Riverdance、Lord of the Danceなどのアイリッシュダンスショーにおいて、あらかじめ録音されたタップ音をPA(劇場の音響装置)を通して流すこと。主催者側はたいていこのテクニックを使用していることを否定するが、ソロパートなどでダンサーが転んでもタップ音が流れ続けるという寒い事象がたまに起こる。
- タップの生音をホールの隅まで届けることは非常に難しいので、打撃音をPAに通すこと自体はタップダンスの世界でも普通に行われていて、通常ステージの縁にスタンドマイクを立てて音を拾います。場合によってはソロダンサーの靴にマイクを仕込んだり、ステージに敷いた床の中に小さなマイクを仕込むこともあります。
- アイリッシュダンスショーでも同様に床マイクや靴マイクは入れてると思いますが、おそらく演出の都合上、会場の大きさなどを勘案しつつ足パクを採用しているものと思われます。というのは、アイリッシュダンスショー自体が「型」優先なところがあって、振り付けによって音が出しにくい(拾いにくい)シーンもあるはずなのです。たとえばフロントクリックで、地上1mくらいのところの音を固定マイクで拾うのは難しいでしょうし、広いステージの会場で、音楽のテンポ通りにフォーメーションを変えていく場合、移動することが優先されてクリック音自体を出すこと自体が難しいはずですし、そのボリュームを音楽のアクセントとして正しいものにそろえるのはたぶん無理です。であれば、あらかじめ音は録っておいて、調整卓側でコントロールできた方が作品(楽曲)は正しく伝わる、という判断なのかと。
- 何を楽しみに劇場に行くか、という価値観によって見方はいろいろでしょうが、単純に「あれ足パクじゃねーか」ということだけで作品を否定するのもどうかと思います。個人的には多少ばらつきがあってもいいから、小さめの会場で生音重視でやってほしいですけどね。
(2004.9.19)