「…さて、1996年に、Riverdance はいよいよ大西洋を渡ることになるのじゃ」
「これがまた大ヒットするわけですね」
「そのアメリカヴァージョンのサントラ盤がこれ。満月をバックに、ダンサーが踊っている写真を使っているから、ダンサー・ジャケとも呼ばれておる」
「あ、これは知ってます。今CD店で売ってるやつですね」
「いいや。よく見てごらん。Riverdanceのロゴが黒いだろう。私はこのバージョンを黒リバーダンスと呼んでいる」
「ははあ。違いはそれだけなんでしょ?」
「そうではないからややこしいのだ。まず、ブックレット中身のデザインが違うな。現行版と違って、ダンサーの写真は中には一切でてこない。それから、もっと重要な違いとして、この時の16曲目は、Dance
Reprice になっている」
- Reel Around the Sun
- The Heart's Cry
- The Countess Cathleen/Women of the Sidhe
- Caoineadh Cu Chulainn (Lament)
- Shivna
- Firedance
- Slip Into Spring
- Riverdance
- American Wake (The Nova Scotia Set)
- Lift the Wings
- Macedonia Morning
- Marta's Dance/The Russian Dervish
- Andalucia
- Home and the Heartland
- The Harvest
- Riverdance (Dance Reprise)
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「ヨーロッパ版のシューズ・ジャケとは曲目が違うんですね」
「演奏陣で言えば、9曲目と15曲目の、アイリーン・アイヴァースの参加が一番大きいじゃろな。それと、コーラス・グループはアヌーナに戻っている。さらに、1曲目と3曲目、それと16曲目にはダンサーのタップ音がミキシングされておって、これがまた良いのじゃ」
「すると今出ているのは…」
「ほら、これだ。ロゴが白いから白リバーダンスと言われておる」
「言われておる、ってご隠居が勝手に言ってるだけでしょ」
「…うおっほん。こっちの方は、ラストの曲が Riverdance Remix
になっておる。それ以外は黒リバーダンスと同じ演奏だな。どちらが良いかは好みだろうが、私は黒リバーダンスの方が好きだな」
「でも、それはもう売ってないんですね。じゃあ中古屋さんを探さなきゃ。でもなんで最後のだけ2種類もあるんでしょう」
「それが謎なんだな。分かる範囲でクレジットを書くと、黒〜の方の、1・3・16曲目のタップ音は、Michael
Flatley , Jean Butler and Riverdance Irish Dance Troupe となっている。白〜の方もタップ音は上に同じだが、16曲目に限りコーラスは
Anuna ではなく Seolta の方を使用している。さらにギターとドラムとベースを新たに加えているな」
「黒リバーダンスは日本盤が出たんですか」
「出ていてもおかしくはないんだが、私は持っていない。お持ちの方はCD品番を教えていただきたいです。手元にあるのは輸入盤で、ATLANTIC
がディストリビュートしていた頃の Celtic Heartbeat 。品番は 7567-82816-2 となっておる」
「白リバーダンスについてですが、ご隠居がお持ちのは日本盤ですね。これは、来日公演直前に売っていたものですか。ふつう左側に細長く付いているオビが、CDケースいっぱいに広がって、日本語のコピーがどーんと入っていますね。白リバーダンスの日本盤には、普通のオビのものもありますが、中身は同じだろうからこれは分けて数えなくてもいいでしょうね」
「コレクターなら放っておかんだろうがな(笑) 。白リバーダンスは、配給元が ATLANTIC から UNIVERSAL VICTOR に変わってからのものだな。日本盤の品番は
MVCU-24022。原盤の品番は UD-53076 じゃ」
「なんだかこんがらがってきましたねえ。あ、そういえば17曲入りのサントラ盤もあるという噂を聞いたんですが」
「そのハナシの出所は Music Boulevard (www.musicblvd.com)じゃな。私も気になったんで、検索してみた。…すると
Track List にこう出たのじゃ」
1. Reel Around The Sun
2. The Heart's Cry
3. The Countess Cathleen/women Of
4.The Sidhe
(途中略)
17. Riverdance (the Remix) |
「ほら、なにか変じゃろ」
「あ、なんだこの4曲目は。ただの表記ミスじゃないですか。なあんだ。では、最後の質問。このジャケットに写っているダンサーは、いったい誰なんで?」
「ううん。実はそれも謎なんじゃあ」
【お・ま・け】
「ご隠居、そのCDは何ですか」
「moriy さんとこのディスコグラフィ(峠のリバーダンス)にも載ってないようなんでね、ちょっと紹介させてもらおうかと思っての」
「2枚組のコンピレーション盤ですね」
アルバム名 |
The Best IRISH ALBUM In The
World...Ever! |
ミュージシャン名 |
John Anderson Concert Orchestra |
レーベル/その他 |
Virgin UK VTDCD 102/1996年 |
「節操がないと言うか、どういう視点で編集されたのかが全然わからないコンピレですねえ。1940年代のオールディズ?はあるわトラッド.ナンバーはあるわ
Thin Lizzy の1973年のヒット曲“Whiskey In The Jar”も入っていればコール・ポーターの曲までありますね」
「ヴァージンもなに考えてこんなCD作ったんだろうな。で、その1枚目の2曲目が“Riverdance”だ。コーラスも入っているが、オリジナル・シングルの“Radio
Edit”でも4分かかる曲を、少しづつ切り詰めて約3分50秒にまとめている」
「録音が悪いんですかねえ、コーラス部分の歌詞なんて殆ど聞き取れない。エコーがかかり過ぎてますね」
「ソロ奏者のクセも気になるな。ときどき音がひっくり返る。あまり上手でない人とみた」
「ミキシングのバランスもひどいなあ。なんだか、全体的にシロート臭い、情けな〜い感じがします」
「そうさな。一度聴いたら2度と聴きたくはない演奏だな、これは」
May 1999▲▽とんがりやま△▼
※参考文献
- IRISH & CELTIC MUSIC/音楽之友社・刊
- 各CDライナーノーツ
- Nifty Serve/<音楽フォーラム-World Music>FWBEAT/10番会議室【ダンシング・パブ】過去ログ
- Air/本文ならびに特設掲示板
その他、いくつかの海外のホームページも参考にさせていただきました。
- 資料協力/Gingerさん…Very Special Thanks!
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