アルバム「Out of the Blue」はRiverdanceツアー中に録音され、モーガンさまは他5名のミュージシャンと共に、キーボード、シンセサイザー、パーカッション、ピアノほか曲のアレンジも行っています。ジャケット裏にはモーガンさまのお姿が…どことなく気弱げな上目づかいの表情がたまりません...
さて、収録されている12曲の内訳について独断と偏見で紹介させていただきますと、
クラシックな選曲では、
- [6]“Music For A While”(H・Purcell「オイディプス」)や、
- [7]“Morgen”(R・Strauss)。
前者では、ボーイ・ソプラノ出身で後にカウンターテナー・ヴォイスに目覚めたというモーガンさまの原点(?)がうかがえます。ノンビブラートな歌唱方もモーガンさまの雰囲気と合っているのでは…どこかの僧院でグレゴリオ聖歌なぞを歌っているようなお姿も似合うような気がするんですよね。
ミュージカル・ナンバーからは、
- [5]“Let There Be Time”(Michel Legrand「クリスマス・キャロル」)、
- [9]“We Kiss In A Shadow”(Rogers&Hammerstein「王様と私」)、
- [11]“Someone Like You”(Murphy&Wildhorn「ジキル&ハイド」)。
個人的な趣味で「ジキル&ハイド」が楽しみだったんですけど(NY版CDに聴き惚れていたのでね)、モーガンさまの歌声はちとテンションが低いような…心の底からの想いがいまひとつ伝わってこない(何か残念な思い)。
ポピュラーなところでは、
- [1]“Drifting”(Harry Connick Jr.)、
- [2]“Too ShyTo Say”(Stevie Wonder)
などを無難に歌ってます。
[4]“Creepin'”(Stevie Wonder)
みたいな曲は、はっきり言って、モーガンさまが歌ってもピンときませんね。
そしてお待ちかね、
- [8]“Lift The Wings”(Bill Whelan「Riverdance」)
はモーガンさまのソロとなっています(ほんとはデュエットで聴きたいんだけどなあ)。これはモーガンさまのはまり歌ですね…彼以外には歌って欲しくないとさえ思ってしまう。この曲と似た雰囲気を感じるのが
- [3]“She Moved Thru The Fair”
で、民謡調の独特の旋律を歌いあげるときにモーガンさまの声にも輝きが増すような気がします…草木を抜ける風や、土の匂いや、優しい光線に包まれた朝露の雫…といった世界を連想させるんです。こういう歌がぴったりくるのは、モーガンさまの派手さのない素朴なきらめきというか、その人柄がにじみ出るからではないかな(と勝手に想像する私)。スカボロー・フェアなんかも歌って欲しいですね。
アルバム中、個人的に気に入ったのが、
- [12]“The Minute Waltz”(F・Chopin &
L. O'Kun)。
「子犬のワルツ」としてお馴染みですが、モーガンさまはこれに言葉をのせて歌っているのですよ…それも、ものすごい早口で。興奮して声がうわずってゆく一風変わった歌手と、全く動じずにそれを聴いている堅物の審査員(?)というオーディション風景(?)をモーガンさまが茶目っ気たっぷりに演じていて面白いんです。遊び心というか、すごく楽しんでいる様子が目に浮かびますね…役者モーガンさまの魅力発見といった感じで、妙に嬉しい。批評の抜粋からもうかがえるのですが、ウィットに富んだコメディーなんかを演らせたらモーガンさまは絶妙でしょうね...
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