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ここがポイント
『打撃系パフォーマンス総合情報サイト』を目指すAirとしては当然取り上げるべき、STOMPのビデオなのです。
90年代に、世界中いろんなCMでも使われたようですし、95年には来日していますし、世界中の打撃系パフォーマーにフォロワーを生んでますから、ご存じの方は多いでしょう。STOMPの制作サイドでは「うちがオリジナル」ってことを主張してますけど、「叩いて音が出るものならすべてパーカッション」というアプローチ自体は大昔からあったものだと思いますので、それをふまえた上でのSTOMPの良さというのは、音楽としてのレベルの高さ(メンバーにはドラマー出身者が多いようです)と、いかにも90年代的なファッションと演出の良さ、小難しいテーマの無さ(^_^)、に負うところが多いのではないかと。
作品自体は1991年、Luke Cresswellさんというパーカッショニストと、Steve McNicholasさんという俳優のコンビを中心としたイギリスの制作として始まり、英米豪で大人気となり、日本ではジャックスカード(92年)、トヨタ(95, 96年)のCMに使われ、95年には東京・大阪で公演も行っています。このビデオは、1997年夏に2週間にわたってニューヨークで撮影され、その年の年末、アメリカのケーブルTVで放送された番組をビデオに収めたものです。
内容の概要
(分秒表示はだいたいの目安です)
- 1'00 What is STOMP?
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ビデオ版だけのおまけとしての「STOMPとは?」という各出演者へのインタビュー、なのですが、いきなり素の顔の人が出てきても、出演者なんだかスタッフなんだかお客さんなんだかワカラナイ・・・。インタビューの背後に作品の中には出てこないシーンも流れています。「ボーナストラック」ってやつなんですかね。
- 4'50
- NYの朝。でっかい金網に一面ぶら下がっている洗面器・金ダライ・道路標識・バケツ・・・・。そして同じくそこにぶら下がっている6人のパフォーマー。ゆーらゆーら揺れながら始まる演奏。遠景で見ると、金網に貼りついているガラクタが「STOMP」という文字列に見える。
- 9'10
- とある路地、バスケットボールで遊んでいる数人の集団をそこのけそこのけと小さなトラックが通る。運転手の鳴らすクラクションの音からまたリズムが生まれる。
- 10'30
- トラックが到着したのは大きな倉庫、を改造したライブ会場。満員の客が出迎え、トラックの荷台からデッキブラシを持った男がステージに上がってくる。続いて舞台袖からデッキブラシを持った集団が出てきてデッキブラシでの演奏(?)
撮影に使われたこの会場は、海軍施設の中の、使用されていない倉庫を改造して作られているようで、天井が高くて暗くてヤバそうで、なかなかいい雰囲気。
倉庫の奥には小さな部屋が。そこからステージを見ている男がちらっと映る。
引き続きデッキブラシパフォーマンス。だんだんアクロバティックな技が入ってきて客席も盛り上がる。決めの瞬間いちばんカメラよりの人のブラシが折れる。ここまで計算でやってるのか!
- 15'18
- さらに舞台ではデッキブラシとタップの競演。
- 16'30
- 倉庫奥の小さな部屋ではさっきの男を含め4人がカードを楽しんでいる。カードを配り、端を揃えてトン、トン、トン、という音がまた演奏。
このあとも、次の作品の登場人物が前の舞台にちょこっと映ったりするような、伏線を張りまくったつくりになってます。ちなみにこのビデオ、撮影はニューヨークでも、編集はイギリスに戻って行われたそうです。だからというわけではないですが、この作品のつなげ方は何となくモンティ・パイソンを思い出しますね。
- 17'30
- 再び路地のバスケットボール。6人のドリブルと足踏みの音がどんどん広がっていく・・・。音はすべて生というわけではないでしょうが、極力ライブ音を聴かせようという意向が感じられます。
その近くのビルの窓から、インド料理(というのは勝手な想像)のシェフ(というか「親方」)が奇声を発している。「うるせーやこの野郎!」みたいな。
カメラは調理場に移って、野菜を切りナベを叩く音がリズムになっていく。
床に落ちたキャベツの葉っぱをそのまま下水に流す男。いーけないんだ。
- 22'30
- そのキャベツの葉が流れ込んだのは謎の水中作業場。数人の作業服を着た人たちが胸まで水に浸かり、ゴム手袋に、大きなゴーグルをして、天井(っていうか地面か?)からゴムかバネでつり下げられている金属パイプを叩いている。パイプは半ば水につかっているので、バネが伸び縮みするのにあわせて、指擦りというか、スライドというか、ピッチベンドしてポワン、と面白い音。
- 24'20
- 急に降り出した雨。水に浸かったまま傘を差す作業員。窓の外を眺める親方。
舞台には黒い金属のドラム缶と、白いプラスチックのドラム缶(?)が並んでいる。6人のパフォーマーが両手に、石ころをタオルに包んだようなものをくるくる回しながらドラム缶を叩く。
このビデオを作るにあたって、倉庫での舞台パフォーマンスは同じ観客を前に2回撮影して編集、という形を取ったそうですが、この水を使ったシーンだけは準備の関係上一発で撮ったとか。観客も緊張しただろうなあ。
- 27'10
- 再び倉庫奥の小さな部屋。カードを揃える音、カードを出す音、リンゴをかじる音、妙な、間。
- 28'30
- 舞台での、バケツをつかったパフォーマンス。このバケツちょっと凝っていて、金属のバケツ(取っ手はついていない)の縁に小さな画鋲状のものをたくさんつけてあって、側面を叩くと一緒に鳴ってドラムをロールしているような音になる。
- 30'40
- ところ変わってストリートでバケツを叩いている、と、親方がまた奇声を上げながら雨どいを叩く。と、その叩くリズムをひきついで舞台では長い棒(2mくらい)と短い棒(30cmくらい)をつかった演奏。これがめちゃかっこいい!
LOTDでも"Hell's Kitchen"で長い棒でドンドンやってますけど、なんかあのくらいの長さの棒ってこう、深層にあるものを突き動かしますよね。
また照明がいいんですわ。派手ではないんですけど、パフォーマーの顔を見せるのでもなく、舞台装置を見せるのでもなく、STOMP自体を見せている、というか。照明が伴奏をしているような。
- 35'40
- また小さな部屋と4人の男。カードの音はエスカレートしてくんですけど、結局どういうゲームだったんだか。無言の4人の視線が行き交う妙な間がいいです。
- 36'30
- 並ぶ巨漢4人。キーホルダーを振ってチャカチャカやってたのがだんだんとストリート全体の騒音に変わっていき(怒る親方)・・・舞台ではdust bin(あなたのPCのデスクトップにもある「ゴミ箱」のことね)をつかったパフォーマンス。
なにより一番の盛り上がりどころなんでしょう、叩いて蹴って跳んではねて・・・。舞台全体が巨大なドラムセットを化します。
- 44'20
- グランドフィナーレ。binやら棒やらバケツやらデッキブラシやら、今まで登場した楽器が再登場し、会場のお客さんの手拍子や指パッチンとセッション。だんだんとメンバーは舞台から消えていき、NYは夕闇につつまれ、そして最後、会場には指を鳴らす音だけが残り・・・。
- 48'00
- タイトルロール。エレベーターの中でタップする若者と脇でぶつぶついってるおじさん。この会話が聞き取れなくてよくわからないのが残念。(だれかディクテーションして!)
入手方法
Airおすすめビデオリストに載せています。
約50分
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