U.S.テロ発生後ということで、成田空港でのセキュリティ・チェックも厳しく搭乗時間もいつもより一時間早めに設定されていました。Virgin Atlantic航空のチェック・イン・カウンタ−では、「乗り継ぎをする場合でも、本日はLondonまでしか荷物は運べません。Heathrowで荷物を受け取ったら入国審査を経て、国内線タ−ミナルへ移動し乗り換えして下さい。」と言われ、おまけに機内用手荷物は一個までという制限もあり（ハンドバックも一個とカウント）、大型ショルダ−にハンドバッグを押し込めて乗るはめに。搭乗時にも再度手荷物検査があり、バッグの中身は開封しすべてすみずみまで細かく調べられました。Londonでの入国審査も長蛇の列で一時間近く待たされましたが、質問は3つ程度のおきまりパタ−ンであっけなかったです。この日フライト・コネクション・センタ−は閉鎖されていました。今回は、London HeathrowからIreland第二の都市Cork空港へ乗り継ぎ便で直行しました。

Heathrowの国内線タ−ミナルでは、エア・リンガス（Ireland国営航空）のカウンタ−で荷物に関して口頭質問のみという極めて単純なセキュリティでした。「これはあなたの荷物ですか？誰か他の人のものじゃない？あるいは他の人があなたの荷物を運んだとか？」「あなたのハンドバッグにナイフ類は入ってないですか？」後日Irishの友人に話したら「アイルランド人らしいよ。これでは誰でも嘘ついて簡単にナイフ持ち込んでハイジャックできるよ。」と苦笑いしてました。手荷物は搭乗ゲ−トでX線検査があるので、そこで引っかかるようになっているのかもしれませんが。

9/19（水）にCorkからバスでTO DANCE ON THE MOONのショウを見るためにKillarneyというIreland随一の観光都市へ移動しました。既に観光シ−ズンも終わりに近づいていて、町も空いていました。会場に隣接しているGleaneagle Hotelに2泊したのですが、アジアの国々からの従業員が10人以上働いていてびっくり。皆フレンドリ−で笑顔の接客態度も地元の従業員よりはるかに感じ良かったです。

ショウは月〜木の週5回あるそうで、さっそくその晩のショウを予約。カメラを持っていこうか迷ったけど、翌日また見に行く時でもいいかと思い、持っ行かないことに。会場は圧倒的にシルバ−層の観客が多く、団体観光パック・ツア−にこのショウが組み込まれているらしく、貸切バスで来た人たちが多かったです。数は100人〜150人程度だったように思います。中央真ん中から後ろの列と両脇の列は前列数列を除いてすべて空席でした。席は先着順なので私は2列目中央左バンドがある側（ステ−ジに隣接してバンド席がある）で見ました。2列目から段差がついているので、舞台は見やすかったです。最前列で私の斜め前のシニアのご婦人がカメラを持参していて、唯一ショウの最中何度もフラッシュをたくたびに集中力をそがれ、気になりました。（やっぱり他の人の迷惑になる行為ですね。）

ショウの内容は昨夏のけいとさんのレポ−トと変わっていないので、詳細は割愛します。私がこのショウで今回一番期待していたのは、LOTDやFOFのビデオにも登場するマイケル御大と踊ったDark Lord役のDaire Nolanのダンスが生で見られるのかどうかということでした。先に買ったプログラムにはキャストの中に彼の名前があったので、うれしかったです。

彼は3役こなしていて一番最初に主人公Daighの父親役で登場。でも座って新聞を読んでいる後ろ姿で、勉強よりタップに夢中の息子を怒るジェスチャ−をして退場。彼かどうかはっきり判別できませんでした。Act1の終盤にようやくArmagein役（ケルトのすべての儀式の守護者、すべての高僧の中で最も知恵と知識を持つ者）で登場。でも、彼はLOTDの悪役のイメ−ジそのまま。まさにDark　Lordで登場するあの雰囲気、しぐさも身のこなしも何もかも「まさに彼！」でした。体格もがっしりたくましく大柄で、彼の登場でステ−ジにも緊張感が漂い、引き締まるような感じ。プリンシパル以下10代のダンサ−たちの中で、彼の独特の存在感はさすが光っていました。もう貫禄というか余裕ですよ。ステップの切れ、スピ−ドも健在でした。でも、彼のはまり役は悪役・・・というイメ−ジが固定化してしまい、このショウでもLOTD＝Dark LordのDaire Nolanというイメ−ジが着いて回るのは彼にとっていいのかどうか、ちょっとワンパタ−ンでは？の懸念を感じました。Act1では、終盤2回の演目の登場のみで、もっと見せて-という物足りなさを感じましました。ActIIでは、Manannan役（アイルランドの海神）で3幕登場。Act1よりダンスシ−ンは多いものの、彼の待遇は準主役級？だとしても、彼のキャリアを考えると登場場面は少ないすぎるくらい。悪役の運命は悲しいかな、彼はついにDaighに打ち負かされてしまうんですよね・・・。

肝心のプリンシパル2名については、この日のヒ−ロ−Daigh役男性プリンシパルは18歳のBOBBY FOX。世界チャンピオン4回、Riverdanceにかつて在籍、その後DODGでColin Dunneのアンダ−スタディを経て2000年夏からTDOTMに参加。やせ型でまだやや線が細い感はあるものの（でも年齢より顔はふけて見える）、タップのスピ−ド、表現力、エンタテイメント性は、LOTD来日公演のプリンシパル、デズモンド・ベイリ−より実力が上という印象を受けました。ヒロインNiamh役の女性プリンシパルは、サインを見る限りでは、Caterina Coyneという（The Troupeの1メンバ−からアンダ−スタディに昇格？）女性だったようです。愛くるしいかわいい女性でした。女性プリンシパルのダンスの印象はさほど強くなかったんですが、Epona役のソフト・シュ−ズ（バレエ・シュ−ズのようにも見えた。）女性ダンサ−の踊りは印象的で（Eponaの登場回数も少なくで残念。）、Spirit of the DanceでのSpirit役を思い出しました。

The Troupeは10名くらいの小規模で、ステ−ジが小さいから仕方ないにしてもちょっと迫力に欠けた。RiverdanceのThunderstormのような男性のみでのタップ場面では、Daire　Nolanがリ−ダ−役を務めました。まるで、マイケル御大を思わせた。現代の場面と現代から神話の世界へタイムスリップするコントラストが面白く、衣装はちょっと地味めというか垢抜けなかったように思います。視覚的にはRiverdanceやLOTDとは見劣りが。Spirit of the Danceよりはまともでしたが。RiverdanceやLOTDとの類似性は多少あるものの、単純に比較していいのかどうか。TO DANCE ON THE MOONは、ミュ−ジカル・ドラマ的要素が多く盛り込まれています。スト−リ−性の面ではLOTDの完全懲悪に似ており、TO DANCE ON THE MOONは、ダンスを愛する少年が幾多の困難を乗り越え、成長していく物語だと思います。

音楽については、Bryan Carr (Singer役には他にあのMorgan Crowleyさんのクレジットもあった。）とDeirdre Mastersonの男女シンガ−ともに美声を聞かせてくれました。とりわけ、Deirdre Mastersonは、RiverdanceやLOTDの女性シンガ−よりやや低めの声で声量もあり、聞きほれました。ミュ−ジシャンは皆若者メンバ−でびっくり。プログラムでのミュ−ジシャンのクレジットの中には、音楽担当のEric Cunninghamの名前は無し。でも演奏は遜色なかったです。

ショウが終了した後、プリンシパル2名と男女シンガ−2名らによる「観客の見送り」がありました。Daire Nolanはその場に現れなかったのが残念。私も列に加わり、4名それぞれに話しかけ、サインをもらいました。「このショウを見るためにわざわざ日本から来ました。10月に台湾には来るそうですが、日本には来ないのですか？」と聞いたら、Bryan Carrが、「台湾へはツア−というよりプロモ−ションのために行くんだ。日本公演は来年2月に予定しているよ。」との返事が。来日公演が楽しみですね。このTroupe2が来日するとしたら、Daire Nolanもみられる可能性大です。

会場ではプログラムの他CDが売っていたので買って帰りました。（公演ビデオは無し）CDのミュ−ジシャンは、音楽担当のEric Cunningham参加によるミュ−ジシャン構成で、ショウのメンバ−とは異なりました。男女VocalはBryan Carr とDeirdre Mastersonとなっており、CDの演奏・歌はとてもいいです。残念ながらタップ音は入っていませんが。

9/20（木）は、カメラを持参して（やっぱり記念になるし、Daire Nolanを撮りたかった。）、見に行くつもりが、ホテルの従業員のフィリビン人女性とひょんなことから友達になり、「今晩町に出かけましょう」と誘われたため一緒に出かけ、結局TO DANCE ON THE MOONには行きませんでした。おかげで、翌朝レストランでは、その話が伝わったらしくアジア系スタッフたちが代わるがわる話しかけに来てくれ、お世話してくれました。

9/21（金）は、Killarneyを後にし、CorkからDublinへ向かい、Dublinではめまぐるしく忙しい一日をあっというまに過ごし、9/23（日）に日本へ向けて発ち、8泊9日の旅も終わりました。ダブリン空港では人手が少ないことからチェック・インに長蛇の列で一時間近くかかったものの、セキュリティも普段どおりでした。帰国時は、Heathrowのフライト・コネクション・センタ−も平常どおり開いていて、荷物はダブリンから成田までダイレクトに運ばれ助かりました。Heathrowのレストランではナイフ・フォ−クはすべてプラスチック製に変わり、機内食でも同様でした。行き帰りとも国内・国外線ともセキュリティ・チェックやチェック・インに長い時間がかかっているということから、飛行機の離陸まで30分から1時間の遅れが出て、3時間の待ち合わせ時間も含めると長い道のりでした。