ライブ&レポート:直撃!ドラゴンロック2
劇団☆新感線『直撃!ドラゴンロック2 轟天大逆転 九龍城のマムシ』
1999年7月17日(土)昼の部@池袋サンシャイン劇場
えー、なんでいきなり「劇団☆新感線」なのかという話はあとにして。
予約もなく、いきなり受付で「当日券出てます?」といったら入れました。運が良かったのかな。席は通路の補助席。けっこう前の方の席でこれまたラッキー。
開演時は、照明を落としつつ、これでもかという大音量のハードロック。音圧で皮膚がふるえるほど。なんかもう基本をおさえてますね。
わたし「劇団☆新感線」観にいくのは初めてだったんです。いつもストーリーを作り込んだ作品をやるなかで、たまーにこういうのが混じるそうで、今回はそのいつもと違う「ポンチ系」の流れのなかにある『轟天』シリーズの2作目なのだそうです。
舞台は香港。
風魔の忍びの流れをくみ、超3枚目でめちゃめちゃ強いけど、女の色気には恐ろしく弱く、下着フェチの主人公、剣轟天(つるぎごうてん。橋本じゅんさん)が、サイボーグ化された昔の仲間、金太(三宅弘城さん)と謎の格闘/歌謡エンターテインメント「X-1」をめぐり、世界的芸能プロダクションの社長兼・マフィアの首領であるジョニーレッド魔夢死郎(まむしろう、と読む。古田新太さん)と死闘を繰り広げるという、こうやって書いても絶対わかってもらえないであろうストーリー。ふう。
中身はパロディのオンパレード。
えー、少年隊の「仮面舞踏会」っぽいkinki kidsから、SPEED・MAX、少林寺、座頭市(およ〜しな〜さいよ〜)、ムトゥ踊るマハラジャ(これ、いろんなところに出てきます)、セーラームーンまで、何でもありです。これみんな笑ってたからスゴイですね、「新感線」のお客さんは。
で、そろそろ本題。
ラスト近く、ついに轟天が魔夢死郎を追いつめ、新九龍城(悪の本拠地)の屋上の脱出用ロケットの前で最後の決戦! というところ。
魔夢死郎が、「ダイヤモンドも砕く鋼鉄製の木刀」というとんでもないものを振り回して、轟天の両腕を集中攻撃。倒れる轟天。そこに金太があらわれるが、やはり魔夢死郎の鋼鉄製の木刀に翻弄される。
「・・・・・・」ゆっくり起きあがる轟天。「腕が使えなくても・・・闘えるぜっ!」
と、突然流れる「Reel around the Sun」(!)もとい、「Reel around the Sunによく似た曲」!!
両腕をブランと下げ、直立姿勢で足を小刻みにステップしながら魔夢死郎に迫る轟天、そして必殺のフロントクリック!!(っぽいアクション)
それに対抗して魔夢死郎もアイリッシュスタイルのフットワークを見せ、フロントクリックの応酬に。さらには金太も加わり、三人で正面を向いて、細かくステップしながら水平移動・・・
「Riverdance」の、たぶん「Women of Ireland」か「Trading Taps」を観て、フロントクリックを使えばダンスで格闘できるということがおそらく、作・演出のいのうえひでのりさんの気に入ったんでしょうね。ほんの20秒くらいのシーンですが、めちゃめちゃ印象的でした。
その、ステップとしてどうとか、クリック音が出てるかどうかとかいうことでなく、単純にそれっぽい茶化しなんですけれども(でもそれなりにランニングスラップしていたような気もする)、ドッとウケるんですよお客さんは。レベル高いなあ。
まあ、もしかしたらそのジェスチャーの面白さだけだったかも知れませんけどね。それならそれで、アイリッシュの生真面目さが、からかいの対象として非常にオイシいということではあります。
えーっと、この舞台、7/20で終わってしまいます。もしかしたら再演もあるかも知れませんが、「ムトゥ」や「Riverdance」といったネタが新感線的にいつまでウケるかわかりませんのでね・・・。東京近辺の人は急げ!