コラム:百万人の演出講座

 
1998?
posted by moriy

何年か前、浅草キッドのラジオで「百万人のギャグ講座」というコーナーがありましてね。

「百万人ギャグ」というのは、もう完全に陳腐化しているにもかかわらず、みんなが口にし、なおかつそれでみんなが笑ってしまうようなフレーズのこと。

それと同じように、劇場においても、観客全員が「またぁ?」と思いながらも総毛立ってしまうのが「百万人の演出」。まさに劇場の最終兵器・・・。


(その1)開演時の大音量

開演のブザーが鳴る。
会場のBGMがフェードアウトしていく。
客席の明かりが消えていく。

無音。

まだ観客の目は暗やみに慣れない。

・・・無音。

客席が次第に不安感をおぼえ始めるころ(心理学専攻の方々、最適な時間を計測してくれまいか)、これでもか!という大音量で低音を強調した曲を流して開幕。これで完全つかみはオッケー。

選曲としては初期のenyaさんとか、Anunaの男性コーラスとか。いまならADIEMUSでいかがでしょうか。


(その2)女の子の悲鳴

ホラーに限らないんですが。

照明がだんだんとフェードアウトし、スポットもしくは薄い照明だけが残り、そのあかりが切れた一瞬のちに女の子の

「きゃぁああああああああ!!!」

という悲鳴がする・・・という流れはもういい加減にしてほしいけど、やっぱり効果がある。

照明効果をいれなくても、脈絡がなくても、可愛い女の子におもいっきり

「いゃぁああああああああああああああ!!」

と叫ばせればとりあえずみんなゾワッとするんじゃないだろうか。


(その3)泣く子

なんにせよ小さい子供は無敵だ。暗い舞台上にぽつんと立たせ、

「ママぁ・・・」

とつぶやかせればオッケー。


(番外)ヒグラシの鳴き声

カナカナカナ・・・という遠いセミの声を聞けば、「ううっ、今年の夏も結局なんにもできなかったよお」というあの、夏休みが終わる頃のなんとも切ない気分になるでしょ。ちょっと弱いけどね。


(その4)パッヘルベルのカノン

前後がどんなに低俗な内容でも、この曲さえ流しておけば心の洗われるような神々しいシーンになるという魔法の曲。
照明は舞台ななめ上方から白色光のスポット1本で決まり。場内に浮遊する塵が光ってなお佳し。

あなたのこだわりは?