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ビデオ鑑賞ガイド
B*WITCHED
"We four girls are here to stay"




このサイトの中でも何度か名前だけは出ている、アイルランド出身の自称「Irish Hip-Hop Poppers」、B*WITCHEDのビデオなのです。 B*WITCHED、98年の秋に日本にも来ていて、そのときの様子もEpicのサイトに残ってます。デビュー以来英国チャートの上位を突っ走っているので、音楽の面からはくわしい人がいっぱいいるでしょうから、ここではAir的な視点でご紹介しましょう。

このグループ、双子のEdeleとKeavy、Lindsay、Sineadの女の子4人で結成されていて、楽曲にも振付にもアイリッシュっぽい要素を取り入れているところが注目なんですが、この4人の中でいちばん年上でお姉さん格の(家でも4人兄弟の長女なんですって)Sinead O'Carroll(敬称略)が、実はアイリッシュダンス経験者なわけです。

彼女は4歳から1年間、そして8歳から再開して14歳までアイリッシュダンスを習っていて、12歳くらいのときAll-Irelandのコンペティションに参加して、reelでトップの成績を取ったこともあるとか。その後アイリッシュをやめて(舞台・作品づくりよりもコンペでの成績を重視するスクールの方針が合わなくて)からは、ジャズやタップ、バレエをはじめて、ピアノも勉強し、London Studio Centreというところで1年の奨学金を取って演劇を学び、いまやB*WITCHEDで世界的スター。

とーぜん、RiverdanceやLOTDのスター同様、Sineadはアイリッシュダンスやってる子どもたちのあこがれなわけで、『Irish Dancing Magazine』誌でも98年の7月&8月号でSinead単独インタビュー、『Irish Dancer』誌では99年12月&00年1月号でSineadの単独インタビューと、彼女がブロンドにする前の写真を載せています。

IDMの方では、「Michael Flatleyをどう思う?」と聞かれて、「彼はすごいわ。Jean Butlerもね。彼には何年か前に実際に会ったことがあって、ユーロビジョンのための練習をしているところを外から見ていたら、彼、わたしに気づいて、練習所から出てきて『シューズを持ってきて一緒にやらないか?』って言ったの。できなかったんだけどね」てなことを言ってます。




さて、ビデオの構成としては、メンバー4人へのインタビューと、サイン会やライブの追っかけ映像、そしてプロモビデオとアメリカでのコンサートの映像が入ってます。

プロモビデオに関しては、ほんのイントロくらいですがオフィシャルサイトで公開されているので、電話代の気にならない人は見てみてください。

インタビューの途中にはさまれる映像で、小さな女の子たちが『C'est La Vie』を歌ってたり、アイリッシュのステップをカメラに向かって見せたりしているのがいいですね。ライブでは、見に来ている子供を舞台に上げてSineadがステップを教えてあげて、いちばん良くできた子にはTシャツプレゼント、なんてこともしてるとか。



C'est La Vie

いきなり英国トップのデビュー曲。詞の内容をそのまま追うような内容。シャイな男の子に、「部屋にひとりで閉じこもってないで私たちとあそびましょ、入れてくれなきゃオオカミになって吹き飛ばしちゃうぞ・・・(つまり『3匹のこぶた』ね)」みたいな話。

で、色白細身のこの男の子、Lindsayの魔法で出てきたはいいけれど、木に縛られたり犬をけしかけられたり、ホースの水をかけられたりと、さんざんな目に遭います。 でもまあB*WITCHEDにならいじめられてもいいかなあ・・・と、いやいやいや、話を戻して。

間奏部分で急にティンホイッスル風のシンセのフレーズが入って、4人が例のアイリッシュ的直立姿勢になって、ソフトシューズのリールで(hopしながら反対の脚でbrush)×3〜step〜step、hop〜step〜step、hop〜step〜step(7&3sの3ね)、というステップになります。コンペや舞台でみるような高さのあるステップではないんですが、立派にアイリッシュとして認識できます。4人で輪になってくるくる回りながら、うつむき加減の顔をパッと上げるところなんか(カメラは上から)、Riverdanceにおける「American Wake」の雰囲気。

To You I Belong

ビデオクリップに先だって、インタビューの場面でアカペラの見事なハーモニーを聴かせてくれます。めちゃかっこいい。

このスローな曲、ホイッスルとシンセのストリングスの音で雰囲気たっぷりに始まります。映像的にはenyaっぽいかな。森の中、風、夕暮れ、浜辺、霧、湖というようなイメージの連続。

このグループ、デニムへのこだわりが強いんですが、ここでもそれぞれが面白いデザインのデニムの服でコーディネートしてます。個人的にはEdeleの着てるやつが好き。

振りとしては、ステップではなく手の動きが中心。どことなくタイの舞踊に似ているような、アジアの雰囲気。


Blame It On The Weatherman

これまた凝ったビデオです。ダンスはほとんどないけど。

大洪水(?)の後、水没した街、かろうじて水面に顔を出すビルの間を流れていく裏返しになったトラック。その上で歌う4人。


Rollercoaster

ふたたびポップな曲であります。

海岸の街にやってきた4人。交差点の真ん中で踊り出すとたくさんの人が集まってきて、オトナもコドモもみんな踊り出す・・・。

とくにアイリッシュっぽくどうこう、というのはないんですが、4人が前後にひざ立ち〜中腰〜背伸び姿勢で並んで上下左右に揺れる、Rollercaster振り(と勝手に名前をつけちゃいますが)がいいです。



さて後半、Disney Channel の番組として作られたらしいライブの映像であります。

Let's Go (THE B*WITCHED JIG)

フルートとフィドルによるairから4人が登場。ワーキャーの声がすごい。Keavyの頭に着けてるハンカチ大の布がかわいい。


Rollercoaster

ビデオだといろんな余計な映像がはいるけど、こっちはダンスを堪能できます。この曲も振りにアジアが結構入っている感じ。Edeleは歌ってるけど、他のコーラスは口パク。その分踊ってるから当然ですけどね。

Rev It Up

このビデオをD-IMPACTの吉野さん&麻美ちゃんと見たことあるんです。この曲の部分を見た吉野さんのコメント。「この人ら踊ってる感じしますわ。なんていうか、すごく踊り慣れてる感じ。相当練習してるんやろなあ」。これだけダンスがうまくて、音楽の才能があって、ルックスが良くて元気が良ければそりゃ売れてとうぜんですよねえ。

この後も「うわ、この子めちゃつきあいたいわ」の連続(ホメことばらしい)。Edeleがお気に入りのようで。

間奏部分、ホイッスルの音が入ったところで、Edeleの「Come on, Sinead!!」の声で Sineadが前に出てきてアイリッシュのソロ。ほとんど勢いをつけないハイキックがすごい。

この後のKeavyのMC、かーいい。(いかん、自分も冷静さを失いかけている)

To You I Belong

やっぱ、タイとかあっちの方の影響の強い振りですね。ツメ長くして踊ってるような。金色のホイッスルとフィドル大活躍です。

We Four Girls

ひきつづきKeavyのMC。「楽しんでる?」「イエーイ」「楽しい?」「(より大きい声で)イエーイ!」「あ、そのほうがいい」みたいな(思いっきり意訳)ドリフ的やりとりがいいなあ、と。

Blame It On The Weatherman

これはじっくり聴かせる曲ですね。

C'est La Vie

はじめてSineadのMC。

これは全員ほとんど同じ振りなのでEdeleも口パクっぽい感じですが、そんなことはどうでもいいくらいかっこいい。全編笛とフィドルが活躍。

アイリッシュな間奏のところで体格のいいフィドラーが乱入。なんか指パクっぽいなと思ってたら、跳んだりはねたりまわったり。このひとダンサーだわ。

ビデオでいうところの例の(hopしながら反対の脚でbrush)×3〜step〜stepのところが、ここでは(hopしながら反対の脚でbrush)×3〜rock〜rock、になってます。このrockも両足首が前後に離れた位置でやるもんで、また違った味わい。


最後のおまけはRollercoasterのUK版プロモ。

地球を飛び出した4人。未知の惑星へたどり着くとそこでは彼女たちは大男よりも力持ち。ボクサーのオッサンを宇宙まで殴り飛ばすほど。緑の大陸ひとつがアイスキャンディーになって、それをEdeleが食べちゃう・・・なんだかはちゃめちゃで楽しいビデオです。




全体を通して、「アイリッシュっぽさ」というものを考える上で非常に参考になるグループなのではないかと。音楽もダンスも、全編トラッドである必要なんかなくて、バンドの中に笛とフィドルがいればもうそれだけでアイリッシュっぽくできるし、腕を使わない直立姿勢でホップを多用すればそれだけでアイリッシュっぽい。それでこれだけポップな作品が作れて、世界中で売れる。

アイリッシュっぽさの取り入れ方について学ぶ点は多いのではないですか、吉野さん?



1999年 約60分

Amazon.comで購入できます。


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air@myself.com