ビデオ・CD・本:リバーダンス・オリジナルサントラの謎(その1)
「ご隠居、ご隠居、大変だ」
「おやどうした、熊さんや」
「いえね、リバーダンス日本公演を観てあんまり感激しちまったものだから、あのあとインターネットでビデオは買うわCDは探すわで大騒ぎしてたんで」
「ほうほう。で、お目当てのものは見つかったのかい」
「それなんですよ。あたしゃサントラCDが欲しかったんですがね、検索するとそりゃあぞろぞろ出てくる」
「カバーヴァージョンやらコンピレーションものやらが山ほどあるようだからねえ」
「そうなんすよ。いったい、本物のオリジナル・サントラ盤ってのはどれなんでがしょ?」
「……zzZZ」
「ご隠居、寝ちゃいけませんよぅ」
「…いやね、オリジナル・サントラと呼べるものが何枚あるかってえと、私にもすぐには答えられんのじゃ」
「えっ、そんなにたくさん出てるんですか」
「うむ。今確認しているだけで4枚あるな」
「ははぁ。で、そりゃどう違うんで」
「そもそもリバーダンスは、ユーロビジョン・コンテストの幕間のパフォーマンスとして上演されたことは、熊さんも知ってるな」
「はあ。それは『Riverdance a journey』というビデオで観ました」
「放映直後から、こりゃ凄いってんであちこちで評判になった。で、急遽発売されたCDがこのシングル盤というわけ」
「ははあ。これがサントラ盤第1号ですか。ユーロビジョン/ダブリン1994の文字が入ってますね、確かに」
「SON Records から発売されている。RTE/BUA CD1 という品番をみても、急いで売り出したという感じだな」
「featuring ANUNA and THE RTE CONCERT ORCHESTRA とジャケットに明記しています」
「ソロ奏者のクレジットは後の版と同じだが、この曲にオーケストラのクレジットを入れているのは、このシングル盤だけだな」
「録音は1993年3月。オーケストラの指揮は Noel Kelehanという人ですね」
「3曲入りで、“Radio Edit”と“Full Version”の間に“Caracena”が入っておるが、これは1992年の『セビリア組曲Seville Suite』の中の1曲で、リバーダンスとは関係がない」
「で、このシングル盤がまた大ヒットしたと」
「本国では18週間チャートを独占したとか聞いているがの」
「さて、そのあと長いショウに作り替えられるわけですな」
「そう。これがその最初のフル・アルバムだ。1995年発売のヨーロッパ盤だ」
- Reel Around the Sun
- The Heart's Cry
- The Countess Cathleen/Women of the Sidhe
- Firedance
- Caoineadh Cu Chulainn
- Slip Into Spring
- Riverdance
- Lift the Wings
- Freedom
- Andalucia
- Macedonia Morning
- Marta's Dance/The Russian Dervish
- Hope to the Suffering
「ダンス・シューズに羽が生えているジャケットですね」
「原盤の品番は 7567-80611-2 で、同年にこれの日本盤も発売されておる。CD番号 AMCY-893 (east west japan) だ。この時点での日本語表記は“リヴァーダンス”。決して“リバーダンス”ではない」
「あの特徴あるロゴデザインもこの時から使われていますね」
「主なソロの演奏陣は後のヴァージョンとほぼ同じで、オーケストラが Riverdance Orchestra に変わる。但し、メインの曲“Riverdance”にもオーケストラが入っている筈じゃが、この曲だけオーケストラのクレジットがない。おそらくシングル盤のRTE Concert Orchestra のトラックをそのまま使っているんじゃないのかな。それよりも、さらに重要なことには、このCDにはアヌーナAnuna が参加していない」
「え、じゃあ誰がコーラスをしているんで」
「クレジットには Seolta とある。アヌーナの不参加の理由は、確か契約料の関係じゃなかったのかなあ」
「ほんとだ。テーマ曲でも、コーラス部分だけ差し替えられていますね」
「最後の曲がゴスペル調のポップなものなんで、びっくりした覚えがある。なんせ、初めてこれを聴いたときはまだヴィデオも観てなかったからな」
「たしかにこの曲だけ違和感ありまくりですねえ。でもこの曲、あたしの持っているポイント・シアター版ヴィデオには、ないようなんですが」
「それはUSA版だろう。実は、約20分長い英版ヴィデオというものが存在している。私も観ていないんじゃが、主に第2部の方で違いがあるらしい。CDにも入っていないHarlem To Hollywood (この曲でオールド・スタイル・アメリカン・タップが披露される)やこの Hope to the suffering 、それにマイケル・フラトリィのフルート・ソロなども収録されているそうだ」
「えええっ!マイケルさんはリバーダンスでもフルートを吹いてたんですかぁ。それは観たいですぅ。あ、でも英版というからにはPAL方式になるのかな」
「いや、1996年の春に、ドロレス・ケーンが来日したときの公演会場ではそっちを売っていたそうじゃ。だから日本でもロング・バージョンを持っている人は結構多いかも。amazon.comあたりで売っているclamshell 版が、問題のロングバージョンなのかも気になるところ。もしこの版をお持ちの方がおられたら、どうか観せていただきたいのですが、とこの場を借りてお願いします。
(moriyフォロー:このビデオについては長尺版レポートを。)
…他にもコンテストの模様を収録した『ルワンダ難民救済のためのヴィデオ』(同じものが2度繰り返して入っているだけのようじゃが)とか、私も欲しいものがまだたくさんあるんじゃよ」
(moriy:私も見たいです(^_^))
「ご隠居もそうなんですか。…で、Riverdance はいよいよニューヨークへ進出する、と」
「ま、そう先を急ぐでない。このあとは<その2>でゆっくりと」
「まだまだ謎が出てきそうですねえ」