ビデオ・CD・本:リバーダンス・オリジナルサントラの謎(その1)

 とんがりやまさんが99年のGWに書かれた労作です。丁寧な考証には頭が下がります。こういうの書くのって大変ですよー。
May. 1999
posted by とんがりやま

「ご隠居、ご隠居、大変だ」

「おやどうした、熊さんや」

「いえね、リバーダンス日本公演を観てあんまり感激しちまったものだから、あのあとインターネットでビデオは買うわCDは探すわで大騒ぎしてたんで」

「ほうほう。で、お目当てのものは見つかったのかい」

「それなんですよ。あたしゃサントラCDが欲しかったんですがね、検索するとそりゃあぞろぞろ出てくる」

「カバーヴァージョンやらコンピレーションものやらが山ほどあるようだからねえ」

「そうなんすよ。いったい、本物のオリジナル・サントラ盤ってのはどれなんでがしょ?」

「……zzZZ」

「ご隠居、寝ちゃいけませんよぅ」

「…いやね、オリジナル・サントラと呼べるものが何枚あるかってえと、私にもすぐには答えられんのじゃ」

「えっ、そんなにたくさん出てるんですか」

「うむ。今確認しているだけで4枚あるな」

「ははぁ。で、そりゃどう違うんで」

「そもそもリバーダンスは、ユーロビジョン・コンテストの幕間のパフォーマンスとして上演されたことは、熊さんも知ってるな」

「はあ。それは『Riverdance a journey』というビデオで観ました」

「放映直後から、こりゃ凄いってんであちこちで評判になった。で、急遽発売されたCDがこのシングル盤というわけ」

リバーダンスシングル盤

「ははあ。これがサントラ盤第1号ですか。ユーロビジョン/ダブリン1994の文字が入ってますね、確かに」

「SON Records から発売されている。RTE/BUA CD1 という品番をみても、急いで売り出したという感じだな」

「featuring ANUNA and THE RTE CONCERT ORCHESTRA とジャケットに明記しています」

「ソロ奏者のクレジットは後の版と同じだが、この曲にオーケストラのクレジットを入れているのは、このシングル盤だけだな」

「録音は1993年3月。オーケストラの指揮は Noel Kelehanという人ですね」

「3曲入りで、“Radio Edit”と“Full Version”の間に“Caracena”が入っておるが、これは1992年の『セビリア組曲Seville Suite』の中の1曲で、リバーダンスとは関係がない」

「で、このシングル盤がまた大ヒットしたと」

「本国では18週間チャートを独占したとか聞いているがの」

「さて、そのあと長いショウに作り替えられるわけですな」

「そう。これがその最初のフル・アルバムだ。1995年発売のヨーロッパ盤だ」

だんすしゅーずと羽根のジャケット

  1. Reel Around the Sun
  2. The Heart's Cry
  3. The Countess Cathleen/Women of the Sidhe
  4. Firedance
  5. Caoineadh Cu Chulainn
  6. Slip Into Spring
  7. Riverdance
  8. Lift the Wings
  9. Freedom
  10. Andalucia
  11. Macedonia Morning
  12. Marta's Dance/The Russian Dervish
  13. Hope to the Suffering

「ダンス・シューズに羽が生えているジャケットですね」

「原盤の品番は 7567-80611-2 で、同年にこれの日本盤も発売されておる。CD番号 AMCY-893 (east west japan) だ。この時点での日本語表記は“リヴァーダンス”。決して“リバーダンス”ではない」

「あの特徴あるロゴデザインもこの時から使われていますね」

「主なソロの演奏陣は後のヴァージョンとほぼ同じで、オーケストラが Riverdance Orchestra に変わる。但し、メインの曲“Riverdance”にもオーケストラが入っている筈じゃが、この曲だけオーケストラのクレジットがない。おそらくシングル盤のRTE Concert Orchestra のトラックをそのまま使っているんじゃないのかな。それよりも、さらに重要なことには、このCDにはアヌーナAnuna が参加していない」

「え、じゃあ誰がコーラスをしているんで」

「クレジットには Seolta とある。アヌーナの不参加の理由は、確か契約料の関係じゃなかったのかなあ」

「ほんとだ。テーマ曲でも、コーラス部分だけ差し替えられていますね」

「最後の曲がゴスペル調のポップなものなんで、びっくりした覚えがある。なんせ、初めてこれを聴いたときはまだヴィデオも観てなかったからな」

「たしかにこの曲だけ違和感ありまくりですねえ。でもこの曲、あたしの持っているポイント・シアター版ヴィデオには、ないようなんですが」

「それはUSA版だろう。実は、約20分長い英版ヴィデオというものが存在している。私も観ていないんじゃが、主に第2部の方で違いがあるらしい。CDにも入っていないHarlem To Hollywood (この曲でオールド・スタイル・アメリカン・タップが披露される)やこの Hope to the suffering 、それにマイケル・フラトリィのフルート・ソロなども収録されているそうだ」

「えええっ!マイケルさんはリバーダンスでもフルートを吹いてたんですかぁ。それは観たいですぅ。あ、でも英版というからにはPAL方式になるのかな」

「いや、1996年の春に、ドロレス・ケーンが来日したときの公演会場ではそっちを売っていたそうじゃ。だから日本でもロング・バージョンを持っている人は結構多いかも。amazon.comあたりで売っているclamshell 版が、問題のロングバージョンなのかも気になるところ。もしこの版をお持ちの方がおられたら、どうか観せていただきたいのですが、とこの場を借りてお願いします。

(moriyフォロー:このビデオについては長尺版レポートを。)

…他にもコンテストの模様を収録した『ルワンダ難民救済のためのヴィデオ』(同じものが2度繰り返して入っているだけのようじゃが)とか、私も欲しいものがまだたくさんあるんじゃよ」

(moriy:私も見たいです(^_^))

「ご隠居もそうなんですか。…で、Riverdance はいよいよニューヨークへ進出する、と」

「ま、そう先を急ぐでない。このあとは<その2>でゆっくりと」

「まだまだ謎が出てきそうですねえ」

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