ライブ&レポート:東京リズムボーイズ・結成10周年ライブ
最近スタジオもオープンしたTRBの、冨田センセ率いるSOUND KISSをゲストに迎えてのライブであります。
9月28日、赤坂Vシアターで、補助席入れて250〜300くらいの座席数だったでしょうか。お客さんはほとんどTRBのお二人か冨田センセのスタジオの関係者で占められていたと思います。
構成は、TRB&SOUND KISSのメンバーによるコントで、それぞれの持ちネタ&新作をつないでいくというもの。ナショナル・タップディやSOUND KISSの公演を見たことのある方なら「お、なつかしー」と思うような曲がちらほら。『タフワフワイ』も久しぶりに見ました。
このハワイ音楽のように世界の音楽でタップを踊るTRB恒例のネタ、今回は新作「フィリピンのバンブーダンス」が登場しました。タップ靴を履いた状態で、長い竹を2本打ち合わせる中に入っていくというアレです。(バンブーダンスがわからない人は「まめまみランド」などご参照ください)これまた打撃パフォーマンスとして面白かったです。いままでのシリーズの中で(といっても今回が第4弾で、ワタシ3つしか見てないですが)いちばん完成されていたのでは。
コントのなかの笑いは、ほとんどがTRB&SOUND KISSの客層だからこその笑いでしたか。冨田センセやしん子さんや薄井さんがいかにもなキャラで出てくるだけで会場ウケてました。(しっかしみなさん役者ですよねえ。踊ってないときの存在感もスゴイという)ただ、メンバーのみなさんを知らない人には何でウケているかわかりにくかったのかも。
話はちょっとズレます。そもそも「とうきょうりずむぼういず」をどう表記するか、という話が松本晋一さんからあって、松本さん的には「東京リズムボーイズ」穴田さんは「TOKYO RHYTHM BOYS」なんだとか。
会場で配られたプログラムのあいさつ文で、「個人的には『芸術』という言葉よりも『娯楽』という言葉に魅力を感じます」と松本さんが書かれていましたが、以前「日本ジャズエイジ発掘隊」のエノケン特集の時にTRBがゲスト出演していたことなど思い起こすと、松本さんの嗜好(志向)というのは、タップが寄席演芸的「娯楽」であった昭和初期あたりにあるのかなあ、と勝手に解釈。TRBは燕尾服着て2人揃って、といういわゆるタップな曲もスゴくいいですしね。
で、話を戻して、ごく一部のマニアの楽しみではなく、一般にむけた視点があるなあと思うネタがいくつか。
疲れたサラリーマンが夜な夜な通うネオン街を舞台にした「湖都美ちゃんご指名」(←タイトルはワタシ勝手につけてます)で、とあるいかがわしそうなお店で、ベッドの下に男がもぐって、そこに板をかぶせた上からコンパニオンのおねーさんがタップを踏み、リズムの快感に男が思わず歓喜の声を上げる、なんてのは非常にわかりやすくてバカバカしくて、好きです。
「邦江ダンサーを拾うの巻」(←タイトルは勝手につけてます)で、タップダンサーを拾ってきてしまった女の子に、お母さんが
「タップダンサーなんかウチじゃ飼えません!」「毎日練習させなきゃならないし、靴の裏見てごらんなさい、金具が付いてるでしょ!」
「かっこいー!」
「そんなので踊られたら近所迷惑でしょ」
というあたりはペットを拾ってきた子供とまったく共通する話ですし、しばらく育てているうち元気がなくなったタップダンサーを見て、お母さんが
「うまくなってきたからだんだん人前で踊らないとダメなの。公園で(「公演」と掛詞になっているようにも思えますが)放してあげましょう」
というあたりも、落語の「寝床」みたいに芸事全般に通用する話ですよね。この2つのネタはタップを知らない人でもウケるに違いないです。ウケなくても、わかってはもらえるはずです。
そんなこんなの90分のステージでした。いろんなゲストと組み合わせを楽しみながら半年に1回、なんてあればいいなあと思うんですが。