RD海外公演:上海レポート
Riverdance(中国名「大河之舞」)の上海公演に行ってきました。
日時:1/10(日) 19:15 (この日は上海での千秋楽でした)
場所:上海大劇院大ホール
カンパニー:The Bann
最初にチケット代について書きたいと思います。
一番高い席(10列目前後の数列の真ん中のブロック)は日本円で約2万5千円、逆に一番安い席(3階席)は約4000円で、その間に5席種あります。
ここまで開きのある料金設定、また日本以上に高いというのは驚きでした。
会場の上海大劇院は主にオペラやバレエの公演が行われるところです。
劇場に入る前に看板やポスターを探すも、残念ながらRiverdanceと書いてあるものすらありませんでした。
建物の中に入り、まずグッズ売り場へ。ただし、グッズといってもオフィシャルのパンフ(前回の日本公演の時と同じでした)・中国版のDVDセット・中国版のパンフしかありません。
私は中国版パンフを買いましたが、なんと450円でした。ですが、こちらもある意味オフィシャルですので、値段の割につくりはしっかりしていますし、出演者の名前もちゃんと載っていて、大変お得です。
Riverdanceは3つあるうちの一番大きいホールで行われたのですが、それでも約1800席(3フロア)しかなく、ちょうどいい大きさです。ステージも、一列に並んでも狭すぎず、広すぎず、いいバランスに見えました。
私は19列目の真ん中のブロックで観ました。前の席とは段差があるため、前の人の頭も気になりません。段差がありながら、19列目でもステージよりすごい上というのでもありませんでした。(前方のブロックがステージより低いため)
開演時刻に近づき、会場はほぼ満席になりました。
上海ということもあってか、中国の方だけでなく欧米の方も結構いましたし、日本の方もお見かけしました。
5分ほど遅れ、ショーが始まりました。
ちなみに、今回の中国ツアーは「大河之舞十五周年白金記念版」 (訳すとRiverdance15周年プラチナ記念版ということでしょうか)なんだそうです。ですが、特段変わったところはありませんでした。
以下、感想を書かせていただきます。
Low Whistleの音を中心にだんだんと音が重なり、ステージに照明が当たってダンスが始まっていく、何度見ても聞いても鳥肌が立つほど感動します。V字になっていくところは自分の席からはいい角度で、きれいに見れました。
ダンサーの中には日本にも来たことのあるSean Kelliherさんと一昨年の来日公演のリードのJason Oremusさんがいました。
そして、いよいよリードダンサーの登場です。出てきたのはPadraic Moylesさんでした。リードダンサーはその時にならないと分からないですが、Padraicさんを一度生で観たかったので嬉しかったです。ホームページの写真よりやや髪が伸びていました。
それにしても、Padraicさんのダンスはとても濃かったです。容姿も含め、Breandan de Gallaiさんを思い出させます。他のリードダンサーと振りもステップもたいして違うわけではないと思うのですが、オリジナルになっているという感じがします。足はまっすぐ上に伸び、高さもあります。そして力強いステップ。他の人がトン・タンなら、Padraicさんはドン・ダンという感じでした。(決して重いわけではないです。)
ところで、ナレーションの声は女性でした。中国語にするのは仕方のないことにしても、トーンがまったく違うので違和感を覚えました。(当然他の演目もでした。)
後で気づいたのですが、ソリストのHayley Griffithsさんは前回の日本公演の方でした。私はその時は歌声に満足できなかったのですが、同じ人だったと思えないほど、今回はすばらしかったです。澄んだきれいな声でした。
あと、後ろのシンガーの中にMairead Masudaさんがいました。ホームページにはなかったのですが、パンフを確認したらちゃんとお名前がありました。Masudaさんはこの他にダンス、ドラムでも活躍されていました。
女性リードはAislinn Ryanさんという方でした。意外とジャンプが高く、そして軽やかなダンス、なによりも華があり、優雅な雰囲気を出されていました。ホームページの写真よりも数段きれいです。
他の男性ダンサーを従えるPadraicさんにオーラを感じました。客席からはポーズを決めるたび拍手がおこっていました。
ダンサーの中にはSeanさん、Jasonさんの他に、前回日本に来たKevin Hortonさんもいたのですが、だいぶふっくらしていました。
フラメンコダンサーはCarmen Armengouさんという、初めて見る方でした。特に不満があるわけでもないのですが、表情や立ち姿、指先の動きなどを含めるとYolandaさんやRocioさんの方がいいと思ってしまいました。でも、何回か見たら段々と良さが伝わったかもしれません。
今回のバンドは女性のフィドラーと男性3人で、ドラムとイーリアンパイプは前回の来日公演の方でした。
私の耳が悪いのかもしれませんが、「Slip〜」はなんだかポップになっているように感じました。
Riverdanceに出ているミュージシャンは当然上手い方が選ばれているのでしょうが、私は、ショーなので音だけでなく、視覚的にも楽しませてほしいと思っています。そういう点では今回はちょっと地味な感じがしました。女性フィドラーはステージ上を動き回って頑張ってはいるのですが、Mairin FahyさんやNiamh Ni Charraさんと比べると個性がないというか、客席に向かってないというか。フィドルとパーカッションの掛け合いもあっさりしていました。
これは「Slow Air〜」でも同じで、バウロンの見せ場もちょっと物足りなかったです。
一つ良かったと思うのは、ずっと前の来日公演でDeclan Mastersonさんが「さくらさくら」を吹いてくださったと思うのですが(違っていたらすいません)、それと同じようにフィドルの方が中国の曲を演奏されていました。私はまったく分かりませんでしたが、これにはお客さんも大喜びでした。
Padraicさんのダンスは、一つ一つの素早いステップの中でも動きに伸びがあるというか、余裕を感じます。また、「Thunderstorm」の時もそうでしたが、声を出したり、「どうだ!」みたいに顔をキメたり、客席を盛り上げようと頑張っていました。
ラストの一列になってのダンスは何度観ても感動します。やっぱりきれいですね。
一方で、音響のせいか、タップの音が聞こえにくかったり、音楽の音のバランスが悪かったのが残念でした。
ここまで演目が終わるごとに拍手はあっても、いまいち盛り上がりに欠けていましたが、大きな歓声が上がりました。
今回はRalph Catoさんという方でした。そんなに大柄でなく、見た目はかわいいおじさんといった感じです。
Ralphさんはステージを左右に結構移動されてました。地味ながらも、ここでも人によっていろいろ違うと改めて思いました。
肝心の歌ですが、本当にいい声(特に低音はいいです)をしているのですが、「Heal〜」を歌う声ではないように感じました。言い方は変ですが、声を張り上げるのではなく、静かにバラードを歌ってほしい、そう思わせる声でした。
良いのか悪いのか、やはりここが一番盛り上がりました。
タップのお二人はJohn ScottさんとToby Harrisさんという方でしたが、私は初めて見ました。アイリッシュの方はPadraicさん、おそらくリードダンサーの一人、そしてJasonさんでした。
タップ、アイリッシュお互い相手の真似をするところは大ウケでした。
個人的にちょっと笑ってしまったところがありました。タップの2人をアイリッシュの3人が端に追い詰めるシーンで、後ろの2人は適度な距離感を保っているのですが、Padraicさんはなんなら追い越してしまうのではないかというほどの勢いがありました。思わずクスッとしてしまいましたが、一方で妙に感心してしまいました。
タップの二人は、すっごく上手かったです。説明できなくて申し訳ないですが、今まで見たことのないステップがいくつもありました。
Padraicさんも技術の高さを存分に見せてくれました。種類が豊富といいますか、なんでも出来てしまう感じです。
他のダンサーの方がそうでないというわけではありませんが、Padraicさんは誰よりもお客さんを喜ばせようというショーマンシップにあふれている方に思えました。
ダンサーの登場時、男性よりも女性がクルクル回転しながら進んでいく、という方に拍手が起こっていました。内容(技)は日本公演と同じでした。(ただFinaleの時は、男性が腕を後ろに座った姿勢で進んでいくというのを見せてくれました。)
この演目はいい意味で気を抜いて見ていられ、ホッとさせられます。タップとマウス・ミュージックの調和がすばらしいです。
なんとなく振り付けが少し変わっているような気がしましたが、私の勘違いかもしれません。
全員がそろったステージは圧巻でした。
また、PadraicさんとAislinnさんはショーを引っ張るのにふさわしいペアだと思いました。また見たい二人です。
スタンディングオベーションはほぼ皆無でしたが、ものすごい大歓声と拍手で(そして、写真を撮ってる人も多かったです)、キャストのみなさんも笑顔でした。
細かい点で気になる部分はあったものの、全体としてはすばらしいショーで、本当に楽しかったです。 なんとなく中国に力をいれてる感じでうらやましくもありますが、また観ることができただけでもありがたいと思いました。