RD海外公演:Q-TIPさんのRD on Bレポート(2)
「Riverdance On Broadway」
5月6日(土)PM8:00の部 | 前から2列目の舞台向かって左端 |
5月7日(日)PM3:00の部 | 17列目中央 |
両日ともにプリンシパルダンサーを観ることが出来ました。understudyに昨年の来日公演で観たConor Haysさんが登録されていましたので、彼のメインも観てみたかったですね。
どんな客層か興味あり観察してみましたが、日本より客層は高いです。平均年齢とったら40くらいいくのではないでしょうか。ティーンネージャーや20代とおぼしき人はほとんど見かけることはなかったです。日本人もG.W.ピーク明けのためか私を含め5人いるかいないかくらいでしょうか。
4月のある夜どうしても「Riverdance On Broadway」が観たくなり、急遽予定をたて単独N.Y.に乗込みました。そして待ちに待った当日がやってまいりました。入館後ホール入口にてチケットの確認をされるのですが、私の席がトッププライスと分かるや否や、usher(劇場案内人)が呼ばれ席まで案内してくれるというサービスぶり。おまけに「gentleman」呼ばわりされる扱いに改めてビジネスの国にやってきたんだなぁとひとしきり感慨にふけっていると、目の前におなじみのRiverdanceマークが入って来ました。
いきなり驚かされたのは、みんな中で写真を写しまくっていることです。日本じゃ考えられませんよね。でもショーが始まればバックにしまってショーに集中する、こういうマナーの使い分けはさすがです。そうこうするうちにThe Riverdance Orchestraの面々が登場、舞台が狭いせいか今回は二班に分かれて両脇に陣取っています。見た目は非常に格好良く、期待感が膨らみます。
New CDの冒頭に収録されているBrian Kennedyさんの独唱からスタートです。緞帳(どんちょう)は降りたまま、その中から歌声が聞こえてきます。歌が半ばを迎えた頃、スポットが降りBrianさんの姿が緞帳の内側から浮かび上がりました。「何なの?」
実はこの緞帳は透ける素材で出来ていて、その上に先程までRiverdanceマークと川の流れが映し出されていたのです。その映像より明るいスポットを内側で浴びせることでBrianさんの姿が中から浮き出てくるように見えるという仕掛けになっている訳です。(凄い!)
Brianさんの姿が消えると俳優のLiam Neesonさんの朗読の中、low whistleを吹くIvan Goffさんの姿が浮かび上がりました。幻想的なスタートです。(因みに今回のshowでのLiamさんの朗読の部分が多く、こちらでは余分という批評もありました。)Ivanさんが歩き出すと同時に真っ赤なコスチュームの女性ダンサーと黒コスチュームの男性ダンサーが登場。緞帳が上がり、奥から本物の朝日かと思う程明るい太陽の光の映像がさす中ダンスがスタート。中心はvideoのNew Showにも出てくるSusan Ginnetyさんです。
舞台は大きくないのですが、舞台一杯使ったReelは迫力有り。特に今回のshowに通じていえることですが女性陣の振付は力強さが強調されています。これでもかと言わんばかりのステップは迫力満点!
そして、ダンサー達が舞台に消え、注目のPat Roddyさんの登場。Patさんは若さ溢れる切れの良いステップで舞台を一杯に使った演技です。Patさんのステップは、ずばりMichael Flatley+Colin Dunneの様な感じです。両者のステップを見比べたことがある人なら、分かると思います。特に上半身の演技は「Lord of The Dance」のMichael様みたいです。ギリシャ彫刻像みたいなポーズ(^‐^;)をダンスの節々に決めてきます。Patさんも帝王Michael様に感化されたのでしょうか。
Sara Clancyさんの声は、Katie Mcmahonさんとはまたテイストが違って、つやっぽくてきれいな声ですね。
関係ないですけどシンガーの皆さんは、全員ヘッドホンマイクを付けています。今までもそうでしたっけ?
女性ダンサーのソフトシューズの演技からのスタート。Tokiko MasudaさんがSusanさんと真中で踊ってらっしゃいましたよ。Tokikoさんは若干ふっくらされた感じですが、ダンスは安定感があってテキパキとこなされています。そして女性プリンシパルのEileen Martinさんの登場(!)小柄でTiaraをつけたその姿はまさしくお人形さんみたいです。しかし、その風貌とは対照的に独特のやや後ろに反った姿勢から繰り出されるステップの力強さと切れの良さといったら!Jean Butlerさんとほぼ同じような振付のため、その質の違いがはっきり分かって非常に興味深かかったです。
またMoscow Folk Ballet Companyの登場のシーンでは、Eileenさんが上に持ち上げられて脅かされるなど演出も凝っています。階段における女性ダンサーのハードシューズでのタップでは今まで以上にステップが強調されています。特にEileenさん、「プリンシパルは私よ!」みたいな気迫が伝わってきます。再びMoscow〜とのシーンでは、追い払う際のキックと表情の厳しいこと、この辺りの演出も今まで以上に分かり易くて好感が持てます。
お馴染みUilleann Pipesの独奏です。videoを観ている時は思わず早送りしてしまうところですが、生演奏はやっぱりいいですねぇ。
ダンサーが階段を降り始める際、全員で「ハイ!」と気合を入れて降りてくるのですが、今回はかなり体育会系(武道系ともいう)の味付けです。PatさんはここでもMichael様ばりのポーズをびしばしきめ、それに答えるかのようにバックのダンサーは節々に「ハイ!」と気合を合わせるという具合。何か空手の型を見せつけられるかの様な錯覚に陥ってしまいました。
video中心に鑑賞しているせいか、馴染み薄い演目です。しかし例の緞帳を使った巧みな映像効果もあり幻想的ムード一杯です。対照的にMoscow〜のダンサーは、気迫たっぷりで激しいダンスを見せてくれました。2列目観ていた時はその息遣いが生々しかったです。
ある意味今回の私の個人的ハイライトの一つでした。来日公演の際には、understudyの方の演技でしたから皆さんの鑑賞レポートを読みながら随分悔しい思いをしたものです。今回の舞台でのMariaさんは叫ぶ叫ぶ(!)「イヤーッ!」とか「ハッ!」とか。
それにしてもMaria Pagesさん凄いですね!皆さんの評判も頷ける時に情熱的に、時に官能的な演技です。思ったより細身の方でしたがそこから出てくるオーラとほとばしる汗は、なんとも言えない迫力です。オーラという面でこの方一つ飛び抜けていますね。途中から6人の男性ハードシューズダンサーとの掛け合いがありますが、「まとめてかかっておいで!」てな感じで余計にMariaさんが引き立ちます。Michael様との対決はさぞかし凄かったんだろうなぁ....。
再びBrianさんの独唱です。New CDで既に体験済みの方もいらっしゃると思いますが、非常に声に表情があっていいですね。歌の中身はラストの「Endless Journey」と同じで、ここではじっくり聞かせてくれます。冒頭と同じくこういったリフレインをInterludeとして挟み込んでくる所は演出向上を示していますね。
緞帳が下りてきてそこには雲の映像が。両脇に陣取ったThe Riverdance Orchestraの楽しい演奏が楽しみです。第一回目のレポートの中でバンドの配置を書きましたが、FiddleとPercussionが段で別れているため今回はこの両者の駆け合いはなしです。その代わり各楽器の奏者が左と右でソロで掛け合いをやります。スポットも左へ右へと大忙し。
やがて緞帳が上がり、FiddleのAthena Tergisさんが舞台に移動しソロへ。どうしても前任のEileen Iversさんのイメージがあって大変だと思うのですが、Athenaさんはそれを振り払うかの様な激しい演奏を見せてくれます。激しさのあまり途中で弦が切れてしまうというアクシデントがありましたが、残りの弦で何も無かったかの様に立て直す力量は、演奏家として一流のテクニックの持主である証です。
再び緞帳が下りてきてそこには月の映像が映し出され、横にスポットを受けたSaraさんの姿が浮かび上がるというため息が出そうな美しい演出の中、前半のクライマックスがスタートします。そしてコーラスが終わり、緞帳が上がったところでコウモリマントを自ら脱ぎ捨てEileenさんの登場。この方ソフトシューズにも関わらずダイナミックなダンスを見せてくれます。切れ味も抜群!ソフトシューズのダンスで迫力を感じたのは今回が初めてでしたね。
Eileenさんのソロが終わり太鼓の音にEileenさんが驚き逃げて行った後(何度も書きますが、本当に細かい所にまで演出の手が届いています。)Patさんの登場。この方「王子」という表現がぴったりですね。ダンスも若々しい切れの良さが特徴的です。Colinさんのステップをベースに「帝王」Michael様に追いつけとばかりに派手な上半身のポーズを次々に決めていきます。
Eileenさんとのデュオの後、次々とダンサーが登場するシーンではTokikoさんが最初に出て来ました。しかもそのシーンの振付の激しいこと、腰を激しくくねらせながら靴を床に打ちつけるような感じです。最後の群舞は舞台一杯を使った迫力満点のもので何も言う事無しですね。
<休憩>
舞台をモップがけするスタッフが登場すると興奮覚めやらぬ観客からやんややんやの
歓声が、照れるおじさん。この辺もこちらの方は楽しみ方を知っていますね。感心しました。
賑やかなお祭りの風景。前の演目Riverdanceの緊張感を和らげてくれます。ここでもTokikoさん、頑張っていらっしゃいました。(ほとんど親が子供を見守るって感じの自分がひどく滑稽でした。)
New CDでは、Brianの独唱ですが舞台ではSaraさんとのデュエットになっていました。(個人的にBrianさんの独唱ヴァージョンはお気に入りです。)ここでちょっと異変が、歌が終わるシーンで二人が上手く行きそうになった所でSaraさんが後を振り返り去って行きます。悲しそうなBrianさん、彼もまた舞台から去って行くことになります。ドラマティックな演出ですね。
人気の演目ですね。今回から黒人ダンサーチームに女性のKaren Callaway Williamsさんが参加と注目です。videoで観ているよりハイピッチにシーン展開していき、コミカルさが以前にも増して感じられる仕上がりになっていました。(Dance CaptainでもあるKarenさんのソロは黒人の方特有の柔らかさを生かした男性顔負けのFunkyなダンスです。)
お馴染みのIrishチームとBlackチームがからむシーンでの楽しいやりとりでは、Blackチームが大げさなIrish styleを披露して例のギリシャ彫刻像みたいなポーズで「普通こんなことせーへんやろ」(確かにしーへんなぁと納得の私)とおどけて見せれば、IrishチームはBroadwayミュージカルばりの振付で返し、Patさんが「Saturday Night Fever」で有名な一番ポーズを決めながら「君らみたいにこんなんせーへんで」(オイオイ、Pat君それはないでぇと首を振る私)と迫れば、場内大爆笑の渦でした。その他にもPatさんのステップを真似しようとしたBlackチームのダンサーの一人が真似出来ずにしょげてしまうなどコミカルな演出満載でお客さんも大いに楽しんでいる様でした。
New CDに収録されていますTsidii Le LokaさんとAmanzi Singersの皆さんの歌ものです。Tsidiiさんは「The Lion King」の舞台でTony賞にノミネートされたのも納得の見事な歌唱力と表現力で、観客にも大人気でした。「Amanzi」ではAmanzi〜により、アフリカらしい雰囲気を漂わし、「I Will Set You Free」では、Tsidiiさんがダイナミックな歌唱力を聞かせてくれ、「Let Freedom Ring」では、前の二つ特性を合わせながら民族ダンスを披露してくれるという構成でした。
バックの満天の星空の中SaxのKenneth Edgeさんがしっとりとソロを聞かせてくれます。
お馴染みのMoscow〜の演目です。今回は振付に変更があった様で今までの「組織」で見せるダンスから二人組みのチームごとにそれぞれのパフォーマンスを生かした構成になっています。観客より口笛を吹きまくるダンサー達の方が盛り上がっている感じを若干受けましたけど...。
ここでもMariaさんは独壇場。「王子」PatさんもMariaさんの前では添え物程度の存在感でしかありません。Andaluciaという演目は初めて観ましたけど、Mariaさんのダンスは迫力満点ですね。
掲示板でも読者の皆さん間で人気だった「Oscail an Doras」に代わる新演目です。
ここでは「Oscail〜」の様な楽しげな雰囲気というよりは、かなり体育会系のノリです。階段の上にそれこそ応援団もびっくりの大太鼓を身に付けた男性ドラマーが二人立ち、その下にThe Riverdance Singers、そして舞台上ではEileenさん率いるIrishチームとMoscow〜がTradingを行うというもの。もし今年の来日公演の演目に入っていたら是非皆さんの批評を聞いてみたいですね。
BodhranのRobbie Harrisのソロからスタート。(Robbieさんの演奏には、場内かなり盛り上がっていました。)途中からFiddleのAthenaさんとカスタネット(?)のMariaさんが登場しての掛け合い。 ※前回のレポートに「Homecoming」の演目内容を記載しましたが、新演目という意味ではなく、前回の来日公演のパンフレットに演目が載っていなかったので参考までに載せてみたということです。
私の大好きな「Home and the Heartland」に代わる新曲です。カットは残念ですが、この盛り上がる曲を最終に持ってくる構成こそBroadway Showなのでしょうね。それにしてもTsidiiさんとBrianさん本当に歌が上手い!声量がある(特にTsidiiさん)のでこの曲にはぴったりですね。(この二人への評価はこちらでもかなり高いものがあります。)次の「Heartland」への移行も違和感無しでした。
PatさんEileenさんの「切れ味」コンビのデュオからのスタート。(こちらでもこの二人の身体能力の高さは高く評価されています。)個人的にNew ShowでのColinさんとJeanさんのデュオが好きなのですが、この二人がやるとテイストが全然違って感じるから不思議ですね。
そしてPatさんのソロへ、Michael様ばりの高速ステップを見せてくれます。回転しながらのタップのシーンでは、Michael様より1.5倍は速い高速回転です。(ギネスブックに申請できるかも? ^‐^;)ソロの最後は「ハイ!」という気合とともにキメ、なぜか「スター隠し芸大会」の堺正章さんを思い浮かべたのは私だけです。(スイマセン)
階段上にダンサーが登場するシーンではダンサー皆が個々に「キャーキャー」叫びながら出てきます。そのまま大騒ぎで舞台へ、この辺りは「めざましテレビ」でも放映されていましたね。この辺りの群舞のステップは多少味付けが変わっています。(先程から大騒ぎは止まりません。)途中Patさんが横のダンサーが叫びまくっているのを見ながら苦笑いしているのが面白かったです。バックのバンド陣もアレンジしまくっていて、Endingに向かって嫌がおうでもボルテージが上がって行きます。Endingでの「オシマイ!」という切れ味の良さは今まで以上のものがあって、この辺りの構成は演出の勝利ですね!
出演者が順番に出てくるお馴染みのシーンです。(The Riverdance Singersの登場のシーンではここだけ「Oscail〜」の替歌で出てきます。)Patさんのソロが終わりアンコールの群舞が始まる頃には満場のスタンディングオーベーションでした。(アンコールは全部で2回)
以上長々と書いてまいりましたがいかがだったでしょうか?
素晴らしい演出とさらにエネルギッシュになったダンスは本当に見ごたえあるものになっていました。ただ残念なことは、タップの打撃音は音が被せてあったこと。またアメリカ的なスピードアップされた展開が日本人の感性に合うかなという感じを若干受けましたが、それでも十分観に行くだけの価値はあります。もしこれを読んで「観に行きたい」と思った方がいらっしゃたら、その方は夏休みなど利用して是非観に行って下さい。「百聞は一見に如かず」です。最近のN.Y.は物凄く治安が良くなっているので、安心して出かけられますよ。
ところで今年の来日公演はどういう変貌を遂げてLiffey Companyがやって来るのか今から非常に楽しみですね。そしてShannon CompanyがBroadway Showを終えた後はどうなるのか?興味は尽きません。今度は謎の(?)Lagan Companyを観に行ってみようかと密かに考えている今日この頃です。
関西テレビさんのWEBに「Riverdance on Broadway」の詳細が公開されています。 写真は全て今回のBroadway showの物ですので是非見てみて下さい。 (moriy注:このページなくなってます)