RD2008:7/9夜:

お久しぶりです。なつかしのD.Naruseさんからのレポート、ありがたいです。
Jul. 27 2008
posted by K.D.Naruse

 僕のRDを追い続けた想い出は関西の音楽的聖地フェスティバル・ホールに始まり、フェスティバル・ホールに終わる。いまmoriyさんのページで確認したら初めて観たのは1999年3月12日金曜日。その後決して熱心なマニアというわけではなかったが、世界中で何回も観続けてはや10年目。ちなみに仕事をし始めてからも10年目で、その置かれている状況や環境の激変はビル=ウィーランのガタイの比ではない(笑)。それでも何とか、自分の愛した音楽に還るために、常に心はここにあった。


 ダブリンで2006年に観たHomecoming[so-net.ne.jp]は小さなハコでシンプルなセット、シンプルなバンドで「原点に還る」ことを目標としたショウだったが、クオリティは高くなく、収穫は美少女フィドラーのゾーイちゃんだけだったという寂しい公演だったので(やや言い過ぎかも)、今回はどんなものになるのかがとても心配だった。今回の大阪はよみうりテレビの主催で、果たして最後の最後に主催することがどの程度のメリットがあるのか不明なのだが、空席が目立ったことと格調高いホールの雰囲気を台無しにする売り子の必死ぶりを見ている限り、興業そのものは客の盛り上がりとは関係なく不調だろう。

 結論から言うとクオリティはパートによりばらつきがあったように思う。とくにダンサー陣は出だしバラバラでどうなることかと思った。Trading tapsはとても良かったのだが、昔々書いたことがあるようにそれが目立つようではどうかと思う。フィドラーははっきり言って「上手すぎ」、これは良い意味でも悪い意味でも。ニューヨーカーらしい器用さで良くまとまっているのだが、フィドルというより器用なバイオリンだろう。イーリアンパイプはこの数年の数回の中では一番良かったと思うが、驚くほどではない。

 良かったのはシンガー陣で、こう考えてみるとやはり久々に観たこのホールの特性がそのまま現れているのかもしれない。男女ソロ/コーラスとも実に伸びやかで強く、また余韻まで含めて実に良かった。フラメンコも素晴らしい。ここはやはりシンプルなもの、アコースティックなものに適したホールで、かつ観客の反応がとても良くわかるホール。その特性を早くにつかんだメンバーが輝いていたのだろうと思う…その与える感動は、大阪初上陸、初日のステージで感じたものと全く変わっていないことも分かった。

 観客もノリは当初固かったが、エンディングにかけて随分暖まって盛り上がったように思う。東京でも大阪最終日でも大変なことになったようだし、これがお別れかも知れないという感情を抜きにしても、この10年で観客は楽しみ方を知ったということなのかも知れない。


 やや感傷的なのか、偉そうに上段から構えてまとめてしまった。お詫びします。
 もっと観ていたい気持ちももちろんあるが、個人的にはRDとの10年を存分に楽しませてもらったことに感謝の気持ちで一杯。また新しい形で、アイリッシュ・タップと音楽と共に長く付き合っていきたいと思う。心残りは会員番号666番(一桁番号を断って冗談でこんな番号を名乗りましたっけね)としてUTFC/UHFCの活動を一切できなかったこと。彼女たちにとって日本が、大阪が永遠の地でありますように。そして、RDを通じて出会えたmoriyさんを筆頭に多くの人々とも、この共有した想い出が永遠でありますように。

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