RD2003:12/7夜:やはりRDは凄かった。

Dec. 30, 2003
posted by Q-TIP
プリンシパル:Conor Hayes & Joanne Doyle

Liffey Co.の日本における最終公演をレポートします。
会場の福岡マリンメッセはいわゆるアリーナクラスの大箱会場。舞台もRD2000を観た大阪城ホール並みの横に長い大きな舞台セットで、東京国際フォーラムの舞台をより横に長くしたような作りになっています(RD The Show 2002のジュネーヴの舞台に近い感じ)。
仙台の会場とは正反対なため、これはこれで驚きました。しかし残念ながら席の売れ行きは芳しくないようで、スタンド席は空きが多く、その場所が黒いシートで覆われており明らかに不自然な席のレイアウトになっていました。

 マチネを観た後、Airではお馴染みのトントンさんとしばしRD談議で盛り上がり(トントンさん、いろいろと興味深くかつ楽しい話の数々有難うございます。良い思い出になりました。)、いざ会場へ。オーラスを観劇するに相応しい6列目のほぼセンターの位置、しかもお隣がトントンさんというRDファンなら最高の環境でショーを観ることができました。

"Reel Around The Sun"

出演者の削減傾向があるといっても、やはりこの広い舞台いっぱいに配置されたダンサーを見ると壮観です。Conorさんも舞台の距離を心配することがないとみたか、舞台をいっぱいに使ったのびのびとした演技です。センターに近い場所で観劇した経験はあまりないので、V字に分かれるところを正面から見ると感激です。

"The Heart's Cry"

この日のSarahさんは、初めて東京でその声を聴いた人物とはまったく別人物のSarahさんでした。初期のRD Singersを思い出させる「ため」のある歌いまわし、高音の出かたも申し分なしです。

"The Countess Cathleen"

今回の来日公演の最大の収穫はJoanneさんのダンスを生で観ることができたことです。ソフトシューズの演技は本当に素晴らしい。仙台では距離感の近さからくる、その密度が何とも良かったのですが、ここの広い舞台をいっぱいに使って踊るJoanneさんはゴージャス。この演目の和訳「キャスリーン伯爵夫人」とはまさにこのこと。

"Caoineadh Chu Chulainn"

Declanさんの演奏が速すぎるという意見がありましたが、この日ばかりは日本人の心の琴線に触れる、聴かせることに徹した演奏になっていました。いい意味で演歌的で「こぶし」の世界なんです。染みました。

"Firedance"

新ダンサーはNuria Brisaさんでした。彼女のパフォーマンスを観るのは今回が初めてですが、長身を活かしたダンスで共演のRD Dancersとも調和がよくとれていました。ただし、表現力など含めて総合力で、今回はYolandaさんに軍配を上げたいと思います。

"Slip Into The Spring-The Harvest"

今回のRD Orchestraのメンバーでお気に入りはsaxのSarahさん。ひたむきなプレースタイルに好感が持てますし、所々にjazzフレイヴァーな味付けをしてくれるのも好みです。ラストのアンコールではRDの中にクリスマスソングをこっそり挿入してくれました。

"Riverdance"

導入のコーラスからソロを経て群舞まで、久々に完璧なRDを観ることが出来ました。今日のConorさんの登場は迫力満点、まさに飛び出すという表現がぴったりで、勢いよく飛び上がりながらの登場、そのまま舞台を駆け抜けて行きました。群舞も広い舞台いっぱい使っており目の前にDancersの河が広がっていました。


前半は本当に完璧の一言。(東京で最初に観た際に感じたどんどん先へ進む演目の進行は今日はまったくなく、演目ひとつひとつ十分「間」をとった構成となっています。)RD終了後、しばし言葉を発するのに時間がかかりました。トントンさんとどんな会話をしたのか覚えていませんが、「来たかいあった」・「やればできる」を連発していたような気がします。

RD2000のオーラスを大阪で観た際には、ここから後半はLiffeyのメンバー・スタッフ一同めいめいが自由に演目にアレンジを加えて「遊び」のあるRD番外編とも言える演出を施してくれ、楽しい幕引きとなりました。今回は何があるのか、後半へ期待が膨らみます。


"American Wake"

場内手拍子で進行、"Lift The Wing"でのSarahさんとPaulさんの歌は、本日の他の演目と同じく聴かせることに徹したアレンジになっていました。今日のSarahさんは本当に良かった。

"Harbour of The New World" 
"i) Heal Their Hearts"

Josephさんの歌いまわしも同じく聴かせ系。singerとorchestra陣一同、日本ではこの系統のアレンジでずっとやっていただきたかったです。

"ii) Trading Taps"

この辺りで今日は「遊び」なしで本気モードでくるなということを再認識しました。Walterさんも爆発はほどほどに演目に忠実なパフォーマンスを繰り広げてくれました。Conorさんはこの演目をあまり得意にしていないと私は見ていますので、かえってこれがバランス良く感じられました。(よくを言えばConorさんにはここで何か彼の得意技を披露して欲しかった。)

"iii) The Russian Dervish"

今回は男性陣3人女性陣2人の今まで観たことがない構成での演目になっていました。女性陣で最後に出てくる高速回転を披露される方の回転はいつも以上の速さ(舞台に十分距離があるため回転速度を高速にシフト出来るというトントンさんの解説に納得)。2組のペアの演技の後、女性陣の一人が高速回転で回る駒のような動きのパフォーマンスを披露、そしてペア演技に加わらなかった男性がいつもラストで見せるコサックダンスをここで披露してくれました。これが非常にうけるんです。誰もが一度は真似をしたことのあるロシアンダンスはおそらくコサックダンス、だから体感として残っているのでしょう、あの真似が出来ない速さのコサックを目の前で見せられると思わず「うぉ」と言わざる得なくなります。

"Home and The Heartland"

いつもは楽しいMairinさんとJohnnyさんの掛け合いも、この日は観ている私がそうなのからなのか、感慨深く感じられました。そしてラストへ。もう二度とLiffeyとしてのパフォーマンスを観ることが出来ないと思うと、鑑賞するというより目に焼き付けるという感じで舞台に見入ってしまいました。終わった後は全身が熱くなって何とも言えぬ満足感と感慨と疲労が入り混じった不思議な気持ちになり、しばし席で浸っていました。


こうしてRD2003の幕引きは、直球ストレートの100%RDな演出で飾ってくれました。東京2日目を観た時は正直RDも卒業かなと思いましたが、最後にこれだけ素晴らしいショーを見せられると、次は何があるのかまた期待をしてしまいます。

やはりRDは凄かった。

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