RD2003:11/23昼:仙台公演レポート

Dec. 5, 2003
posted by ちゃーりー
日時:11月23日(日)午後12:00開場 午後13:00開演
座席:1階S席 CブロックH列40番(e+先行予約)
プリンシパル:Marty Dowds & Roisin Cahalan & Yolanda Gonzalez Sobrado

 RDを筆頭として「Air」で話題になったアイリッシュダンス公演では初の東北公演。ドライブも兼ねて朝9時頃に郡山を車で出発。予定通り11時過ぎに仙台サンプラザに到着。隣にあったショッピングモール内で昼食を済ませ、車はサンプラザの駐車場に預けていざホールへ。

 ホールの入り口には会場の30分前だというのに寒空の下、すでに数十人が並んでいる。気のせいだろうか、やたらに女性の比率が高い気がする(老若問わず)。並んでいる人たちに向けて係員が撮影・録音機材の規制について繰り返し呼びかけている。12時になり扉が開く。私は途中から増えた列の先頭に立ってロビーに入り、真っ先にグッズ売り場を目指す。売っているものは先日の東京公演と同じ。見渡したところバウロンは無いようだった。ここで先日買い損ねたCD+DVDセットとTシャツを購入。周りを見回すと他のお客さんたちは興味深げにグッズを見ているが、パンフレット以外のものを買う人はまだ少ない様子。

 ロビーへの扉は開いたが、何故か客席へはまだ入れてくれない。お客さんはロビーでグッズを見たり、軽食やワイン(ボジョレーヌーボー)を賞味しながら待つことになる。酒を飲むと眠くなる私はそれらは無視して、先刻買い求めたCD+DVDの解説を読んで時間をつぶす。以前購入したCDの解説もそうだったが、今回のにもしっかり「Air」のアドレスが書かれている。ところで「打撃系ダンス」って一般的な用語なのだろうか・・・? (moriy注:打撃系ってフツーは格闘技か、格闘ゲームの話ですよね。こういう使い方はAirローカルです。)

 やがて客席の扉が開き自分の席へと向かう。座って見るとなんとど真ん中。舞台からは少し離れているがそれでも先日の国際フォーラムよりは近い。初来日の時のネスレ招待席(行けなくなった人から購入)以来の好ポジションに期待が膨らむ。仙台サンプラザはご覧の通り(http://www.sendai-sunplaza.com/hall/zasekizu.html)の円形客席。でもこれだと舞台袖の方の観客は横向きに舞台を見ることになる。奇抜な設計というのも公演内容によっては却って不便だ。国際フォーラムと較べる事自体誤りなのだが、やはり舞台が小さめに感じる。まぁそこはプロの方々、世界中を廻って様々なサイズの舞台で踊っておられるだろうから素人観客が気にすることはなかろう。

 私は早々に客席に着いていたのだが、周りを見回すとなかなか席が埋まる気配がない。しかし開演が近づくにつれ急速に席が埋まり、最終的には満席(公演中に入ってくる不届きものはやはりいたが・・・)。そしていよいよ舞台が始まる。


 まずバンドのメンバーが袖から姿を現し、拍手に迎えられて着席。ホイッスルの音が響き渡りナレーションが始まる。ダンサー達が姿を現し否応なしに緊張が高まる。RDを生で見るのは今回が6回目。しかし何度見てもこの最初の演出はどきどきする。ビデオやCDを鑑賞していてもそうなのだから生なら尚更だ。そしてステップの音が響き渡り感動が始まる。今回の席は目線が丁度ダンサー達の足の高さになるため、自然とステップに目が向く。かつてこれ程ステップに注目して公演を見たことは無かったかもしれない。ダンスのテンポが次第にあがり、舞台上をダンサー達が縦横無尽に駆け(跳ね)回る。今日の客はかなりノリがいいようで、この段階で早くもかけ声や指笛が聞こえる。群舞が引っ込み、入れ替わりでプリンシパルのMartyさんが飛び込んでくる。彼のダンスを見るのは始めてだが、動きが伸びやかで実にさわやかに感じる。時折M・F氏を思い出させるようなパフォーマンスを見せてくれる。彼のソロダンスの間も要所要所で客席から拍手が沸き起こる。こんなのは初めてだ。できればステップの音に集中したいので拍手は控えて貰いたいというのが本音だが、感動を素直に表す姿勢には共感がもてる。

 ダンスが終わり、次は歌だ。しかしここでRD Singers、いきなりやってしまった。女性ソロが歌い出しで思いっきり音程を外してしまったのだ。すぐに建て直し、その後は無難に進み、最後のロウソクの火を消す演出。いつもならここで拍手が起きるのだが今回は一切なし。ちとシビアすぎるのではないか?

 続いてFemale PrincipalのRoisinさんの登場。こちらも非常に小気味いいステップだ。ロシア人ダンサーに囲まれた時の演技はジョアンさんに較べよりはっきりと怯えた様子を見せる。個人的にはこちらの方が好きかもしれない。

 クーフリンの哀歌は個人的にはもっと伸びやかに余韻嫋々と演奏してくれた方が好みだ。

 他の方々も触れられていらっしゃるが、今回の公演で特筆すべきはShivnaだと思う。特に男性ダンサーの存在感はすばらしく、その一つ一つの動きに視線が釘付けになってしまった。

 ヨランダさんのFire Danceはまさに圧巻。先ほどのRoisinさんの演出とは対照的に、男性ダンサーに対しても「かかってらっしゃい」と言わんばかりの迫力。しまいには「ついといで」とばかりに舞台上を闊歩する。見ていて呼吸が止まりそうになるくらい引き込まれる。ここではひときわ大きい拍手。当然の評価だろう。

続くバンドの演奏。各楽器毎にソロの見せ場を作る演出は本公演からかな?私の記憶違いかもしれないが・・・。ちなみに今回は「サクラサクラ」はなし。東京公演を見に行った時はちゃんとやってくれたのだが、気付いた客があまり多くなかった様子。外国人が「コンニチワ」と片言の日本語で挨拶するだけで拍手する国民性へのサービスだったのかもしれないが、意表をつきすぎた演出だったのかもしれない。

いよいよ前半のクライマックス。オープニング同様、徐々に盛り上げてゆく演出にこちらも乗せられ、気分が高揚してゆく。会場の盛り上がりもかなりのもので、終わってからはまさに万雷の拍手だった。

 第一部が終わり思わずため息が漏れる。休憩時間になりロビーへと出ると、グッズ売り場に人だかりができている。おそらくビデオやCDを買い求めているのだろう。

 第二部最初のAmerican Wake。舞台に合わせて終始客席から手拍子が上がる。続くLift the wing。 CDでは女声アルトのソロだがやはり男女の掛け合いの方がいいと思う。不思議だったのは歌い終わった後で拍手があまりなかったこと。間をおかずに舞台上で奇声と共に踊りが始まったからかもしれないが、もしかすると今日の客はダンス偏重なのだろうか?

 Heal Their Hearts 今回のソリストはテナー(バリトンくらいかも)ボイスだったが、私は初来日の時に聞いた深い深いバスの歌声が未だに耳から離れないでいる。しかし今回のJoseph Nobleさん、聴かせ方は一流。最後のフィナーレでも大きな拍手を貰っていた。

 今回の公演は前回、前々回にも増してTrading TAPが面白かった。Irish vs TAP のバランスもよく、観客全てを魅了していた。いろいろと伝えたいとは思うのだが陳腐な言葉しか私には浮かばない。他の人のレポートからその雰囲気を読みとって頂きたい(手抜きというなかれ)。

 仙台公演の途中からだったのだろうか。残念ながら今回もRussian dervishはなし。ついでにRi Raもなし。しかしフィナーレでは両方とも出てきていた。ステージまるまる跳ばすことはできても一連の曲の流れをむやみに変えることはできないのだろう。しかし残念だ・・・。

 第二部でもヨランダさんは全開フルスロットル。指先まで魅せる最高のダンスだった。リバーダンスでのフラメンコというとマリア姐さんが引き合いに出されがちだが(ってかマリア・パヘス舞踏団のチラシには相変わらずリバーダンス云々の文字が・・・)、私には甲乙付けがたいくらいに彼女の踊りに感動を覚えた。

 目がちかちかする照明の乱舞と共にいよいよフィナーレが近づく。二人のプリンシパルが踊る後ろでのダンサー達が階段に整列。プリンシパルのお二人、ちと引っぱりすぎて慌てて階段を駈け上ったように見えたのは私だけだろうか?そして圧巻のアカペラステップ。至近距離からのその音と動きは大迫力。しかし伴奏のないステップに観客が手拍子を合わせるのはいろいろと問題があると思うぞ・・・。

 バンドの演奏が合わさりフィナーレ。私も含め、何人もの客が身を乗り出して拍手を送っている。まだ立たないぞ、うんまだだ。観客の手拍子、拍手に迎えられて出演メンバー達が舞台へと帰ってくる。そして一同勢揃いしてRiverdance 終わると同時に弾かれたように席を立つ。私だけでなくそこそこの人数が立ち上がって拍手を送っている。アンコールが繰り返され、次第に立ち上がる人が増えてゆく。しかし「見えないから立つ」というのでは寂しい。むしろ「立たされた」感がその人自身にとって不満として残るのではないだろうか。観客全員で一緒に感動を表現したいと思うのは自分勝手なわがままだろうか?

 感動の一時が終わってしまった。無論いつまでも心に余韻が響いているが、次に彼等と会えるのが何時なのかと考えるとつい寂しくなる。


 ホールを出て駐車場へと向かう途中、なんとホールの外に出演者控えらしき建物が。通りかかった我々と手を振り合ってメンバーが建物へと入って行く。バッグからサインペンを引っ張り出し、なんとかサインを貰えないかと思ってそちらへ足を向けるが、折り悪く職員らしき日本人が出てきてこちらをじろり。へたれの私はすごすごと駐車場へ。悔いが残る出来事だった。

 出演者の方々は夜の公演へ向けて休憩に入るのだろう。もしかすると外で待っていれば会うことが出来たかもしれない。しかし出会った人の名前も分からずに手当たり次第にサインをねだる、というのも気が引けて結局さっさと車に乗り込み帰途についた。車の中では買ったばかりのCDをかける。しかしこれってボーナストラックが追加されただけで、その他の録音は前作と同じように思えるのだが・・・。事前情報をしっかり収集していなかったし、その後も聴き較べたわけではないのだけれど、そこんとこ如何なんでしょう?

 私にとってのRD2003は終わった。後は買い求めたDVDで渇きを癒すだけの日々となろう。

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