RD2000:12/17夜:またねっ!

えーいやっぱり大阪はいいなあ。(と、その他のAir読者の声)
posted by とんがりやま

12月17日(日)17:00〜

本日のネスレ:
エクセラ+きっとカット+クランチ

本日の主演:
Breandan De Gallai
+Julie Regan
+Maria Pages

 さて、千秋楽であります。気のせいか、開演前から会場の熱気が違うような。
 最後の座席は、運良くアリーナに座れたとはいえ、昼とは比べものにならないくらい遠い。きっと最前列だったら気絶していたかもしんないから、と自分を慰めることにする(^_^;;)。

 大阪公演の、というよりも日本公演の、いやそれよりもアジアツアーの最終公演。これが終わったら、みんなようやく家に帰れるんであります。楽しいクリスマス休暇が待っているんであります。これでリキが入らない方がどうかしている。しかし、彼らの気合いの入り方は、わたしの予感を遙かに上回っておりました。

 オープニングの、デクラン・マスターソンのロウ・ホイッスルの、最初の一音でドキッとしたのは初めての経験だった。お、音が全く違う…!前回まで聴いていたのは、あれは何だったんだ!「音」というよりも、正しくは「音圧」が違っていたのかもしれない。ニンゲンその気になると、こんな音も出せるのだ。
 やがてダンサーが姿をあらわす。ホイッスルの調べもダンサーの歩みも、いつもよりうんとスローな感じがした。ゆっくり、ゆっくり、静かに時が流れていく感覚。中央のダンサーが首をゆらりと右に回す。その「波」が、ちょうど水紋が広がっていくように、舞台の上を伝播していく。
 そして—。

 そのあとは舞台作品と言うよりも、もはや祝祭空間と化していた。ダンサーがきゃあきゃあ叫びながらの『Reel Around the Sun』なんて初めてだった。思い入れたっぷりの『Caoineadh Chu Chulainn(Lament)』は、無骨な城ホールを遙かなる大草原に変えてくれた。『Shivna』の月の精はわたしの体温を2、3度下げた。嬉しいことに、今まで一度も満足しなかったコレット・トッドも今夜ばかりはとても良い声が出ていた。
 第一幕の終わるのがなんと速かったことか。さすがに休憩中はぐったりしてしまった。

 千秋楽のステージを、作品として冷静に評価しようとすると、アドリブが長すぎて冗長になってしまった部分もあり、必ずしも最高のものではなかったかもしれない。特に第二幕の『Trading Taps』とバウロンソロ。しかし、一瞬ダレかけただけで、あとは怒濤のごとく突っ走る。最初から最後まで心臓はドックンドックン高なりっぱなしだわ、気をつけていないと涙腺は緩んでくるわで、もう実に困った事態なのだ。
 しかしあれ、会場がフェスティバルだったら観客全員卒倒していましたな。

 もちろん正確な比率など知る由もないが、「よく知っている客」の割合が、おそらく一番多かったのではないか。かけ声、指笛、口笛、どれも盛んに飛んでいた。拍手・手拍子も多かったように思う。

 ミュージシャンも(今夜のモーリンさんダントツ!)、ダンサーも、歌手(フィナーレのミシェル・ベルったら、お茶目!)も、みんながみんな祭りの夜のように興奮していた中で、敢えて言うなら、マリア・パヘスだけが唯一、普段通りだったかもしれない。つくづくマリア姐さんって、プロフェッショナルなんですよねえ(*^_^*)。
 もちろん『Heartbeat of the World』でのブランダンとの対決と、続く『Andalucia』でのソロ。このふたつには、あたしゃあ窒息死してしまうんではないかと思いましたよ。

 会場を出ると冷たい雨はまだ降り続いていて、わたしは傘を差しながら、しばらく出演者出口周辺に立ちすくんでおりました。ホテルへ向かうダンサーやミュージシャン達に、もう一度心からの拍手をしているうちに、大きなトラックが数台やってきます。中では早くも撤収が始まっているのでしょう。
 こうして、祭りは本当に終わったのでした。また来てね。

▼△とんがりやま▽▲DEC.2000

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