ライブ&レポート:KAZUさんのワークショップ&ライブ

1999
posted by moriy

KAZUさんのことはいろんな人からウワサを聞いていたのです。なんかスゴい人がこの夏日本に来るらしいぞ、と。

"Bring in DA' NOISE, Bring in DA' Funk(97年のグラミー賞でRiverdanceとならんでノミネートされていた作品です。見たことないんだけど)"のオーディションに受かったとか、そういうプロフィールはKAZUさん本人のページを参考にしていただくとして、とにかくその人が日本に里帰りするのにあわせ、ワークショップが開かれるよーという話を聞いたので、さっそく申し込んだわけです。

KAZUさんのスタイルはなんというか、えーっと、アイリッシュとはある意味対極です。『Trading Taps』の黒人タップダンサー側みたいなことをやったと、なんとなく思ってください。「リズムタップとは?」とか言葉の定義や流派の話をすると、こちらはこちらでいろいろとうるさいようで・・・。

そんなわけで8/7。

場所は実技班でおなじみ(^_^)STUDIO HOOFIN'。オープンクラス(タップやったことのある人なら誰でもオッケー)に参加しました。ギリギリについてあせって着替えて、20人弱の参加者の中にM.さんやM-BeatのASAKIさんを見つけて軽く会釈しつつ開始。

まずball-heel。ただタ・トンと足を下ろすだけの動作なんですけれども、なにげにやってみせるKAZUさんのこの音がまるで違うんですよ。「ダッ・ドゥン!」・・・この人、足だいじょうぶなのかなと思うくらいの大音量。「じゃ、そのまま歩き回ってください」全員で出す音よりKAZUさん一人で出す音の方が大きいんじゃないんだろうか(^_^;)。

カラダ、全体を振り下ろすというか。いままでこういうステップに関しては、ひざから下しか意識してなかったのですが、KAZUさんみたいな音を出そうとするとどうしたって全身の体重をかけないとムリなんです。それをひざ下だけでやろうとしたら足がおかしくなる。よってカラダ全体をやわらかくして全身でその衝撃を吸収しなければならない、と。まあ理屈はそんな感じ。上半身はものすごく自由です。

つづいてball-(ballを置いたまま)heel-(heelを置いたまま外側に)ball-(ballを置いたまま少し外側に)heel。ここでもなにげにスゴイ大音量。なんなんだこのヒトは。

「もうこれだけでスゴイ情報なんですよ」

「?」

「もう、これだけでいいんです。これを組み合わせるだけで・・・」と、KAZUさん、アドリブでやってみせる。

「!!」

なんというべきか、踊る驚異的なドラムセット。全員ボーゼン。

上のステップの応用をいくつかやったあと、いわゆるクランプロール。ジャンプしたあと、両足のballとheelで4つ音を出すんですが、カ、カ、ド、ド、とハッキリ分離するパターンとタラララッと軽く音を出すパターンとを練習。ただ大きな音を出すだけの人ではないのです。でも小さい音のときもひとつひとつの音は確実に正確なタイミングで、ここでも絶句。タ行よりもサ行で表現したいような、なめらかでかつ正確な音を軽く出して見せてくれます。

小さい音の時ってどうしたってゴマカシっぽくなるじゃないですか(練習不足? ・・・まあそうなんですが)。逆に一個一個ちゃんと出そうと意識すると固くなって中途半端に大きな音になりますよね。KAZUさんがその小さい音について、腹筋の使い方や意識の持ち方にからいくつかアドバイスしてくれました。

あとパドル&ロール(で、いいのかな?)。 ダカタカダカタカダカタカダカタカダカタカタカダカタカタカダカタカ・・・っていう。わかんない? まあいいや。これのバリエーション。またこれが速い速い。moriy当然ついていけず、くたくたになって終了。

ライブのお知らせをもらって帰る。ビルの入り口で誰かがパン食ってる、と思ったらKAZUさん。「きょうはどーもありがとうございました」と二言三言。

熊谷和徳 First Live in Tokyo『BANGIN'』
日時:1999年8月7日(土) 20:30〜、22:30〜
会場:CAY(青山スパイラル地下1階)

去年の暮れにSOLASとかのライブ見に来たところだから場所はわかる。着いたのは22時ちょうどぐらいだったかな。

「カウンターにしますか?」

「あ、できれば前の方のテーブルで」と言ったらなんか食事のメニューいっぱい持ってこられた。いや、そういう意味でテーブルにしたんではないんだけど・・・。

舞台には3尺×6尺のコンパネでクッションをサンドイッチにした板が2枚。クッションと言っても役割としては音を響かせるためのようで、ちょうどそのすき間のあたりにマイクが向けてある。

掲示板でちょっとおなじみのエビさんあらわる。9月のライブ参加の面々がもう2人。合計ちょうど4人でテーブルが埋まるのでこっちに来てもらう。なんでも20時半からのステージを見て、あまりの衝撃にそのまま立ち去りがたく、22時半のステージまで場をつないでいたのだとか。うーむ、期待が増すなあ。

しばらくして背後にカチャカチャいう金属音。ん、と思って振り返ると、白い長袖シャツにニットの帽子をかぶったKAZUさん登場。

ライブの内容は、期待以上だったとだけ書いておきましょうか。あそこにいられた人はしあわせですよう! 音のダイナミックレンジの広さ、ひとつひとつの音の持つ説得力。全身から発散される「自由さ」。そして音の軽さ。軽いっていっても、うすっぺらっていうことじゃないですよ、当然。「ダンッ!」っていう音、すごく大きい音なんですけれども、決して革製品で殴られたり、古タイヤが落ちてきたような音ではなく、空気のかたまりがぶつかってきたのを身体で受け止める感じ。軽くて弾力のある衝撃。

20時半からの回は30分程度だったそうですが、終わって時計を見るともう23時半。たっぷり1時間のステージ。おそろしい体力と集中力!

翌日、こんどはintermediateのクラスに出てみる。

内容はいくつかのルーティンを組み合わせたコンビネーションを90分かけてレッスン。ホントになんかこう、足がドラムセットなんですわ。ただheel-heel-(反対側の足の)ballとかいうステップでも、ベース・ベース・スネアみたいな感じに聴こえる。しかも手で叩くよりきれいなんじゃないかという印象さえ与える。・・・かっこいいなあ。

レベルの高い参加者の面々のなかで、何とかゴマカシながら終了。「頭で理解していることが重要だ」ってSHOさんもいってたし、楽しかったからいいや。

終了後、「ちょっとインプロビゼーション(即興)やってみましょうか」とKAZUさん。

「急ぐ方は帰ってもいいですよ」そんなそんな、もったいないことするもんですか。(とはいえこういうの全然できないんですよね、私。)

NYのスタジオでの、インプロビゼーションにまつわる思い出やアドバイスなどをまじえつつ進行。途中、「何やってもいいですよ」と言われたときに、ちょっとフロントクリックやったら妙にウケた。内心ガッツポーズだけど、この反応はよくわからない。

そんなこんなで次のクラス(江口さんのタップ基礎)が始まってしまうので全員退場。あ、しまった、靴の写真撮らせてもらうんだった!!

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