2000年7月28日(金)
「トゥ・ダンス・オン・ザ・ムーン」
キラーニ グリニグルホテル・ナショナルイベントセンター
RDをみた翌日は アイルランドの西 キラーニという街に向かいました。アイルランドについてから知ったのですが アイルランドの鉄道はここ一ヶ月ストライキ状態で 列車がほとんど止まっているか 出たとしても日に一本という状況でした。前日に もし列車が出なければ バスがかわりに出るからそれで行ってくれと言われましたが なんと7時間(アウー)かかるとのこと。それじゃあ ショーをみれないかもしれません。でも 運良くその日は一本だけキラーニ行きの列車が出ることを知らされ 午後の列車に乗り込みました。約3時間半かかって夕方5時くらい到着。
早速「ダンスムーン」のショーのことをききにホテルのフロントへ。
このショーに関しては ネットでのチケット購入ができず 現地でなんとかしようと決めてました。けれど ネットでみた「グリニグル」という地名(だと思っていた)や開催場所のナショナル・イベントセンターが 地図上にものってないし 人数がある程度集まらないとショーもやらないみたいなことも 前もって聞かされてたので あまり期待せずにいました。が、意外にもオオケイ。「グリニグルはホテル名 このホテルに行って チケットを買えばオオケイよ ショーは8時半から」と言われた時にはもう嬉しいため息。
話しはずれますが キラーニという街は ほんとに観光地という感じのところでした。日本でいうところの軽井沢とか那須のような・・・かわいらしいホテルやB&Bがたくさんあって ショッピング街があって 馬車が走ってて 旅行者であふれている小さな街です。(アメリカ・イギリスからが多いらしい)グリニグルホテルは その中でも街外れにあって いろんなショーやイベントをやっているレジャーホテルでした。ナショナル・イベントセンターなんて仰々しい名前ですが ホテル内の大宴会場に大がかりな座席を組み立ててあるというような そんな感じのものでした。
チケットはあっさり買えていざ会場へ。の前にパンフレット売場へ(グッズはこれだけ)3冊も買ってちょっと奇妙な視線を感じたので「日本のファンの友達のために」と いいわけがましく言いました。でも通じてなかった気が・・・でほんとに会場。ここはキャパは2000なのですが 中央くらいに黒幕がしてあって会場を狭めにしてありました。それでも座席のうまり具合は 5〜6割。200〜300人くらいのお客さんの数だったと思います。席は自由です。ダンスがよく見渡せるようにと思って 最後尾の上の方(かなり段差がある)に座りました。
それで ショーのリポートなのですが これをみられた方がまだあまりいないかも と思うとちょっと緊張します(汗)うまく伝えられるといいなって思います。 このショーは アイリッシュダンス・ミュージカルということで ダンスももちろんあるのですが 歌・せりふのないボディーランゲッジ・演奏もかなりありまして ストーリーもわかったようなわからないような そんな感じでした。なので ちょっとパンフレットを訳してみました。
【プロローグ】
ケルティックアイルランドの 伝説と神話の中で ダンスミュージカルがステップする。・・・ドルイドの世界 不思議な海の生き物 知識のシャケ(?) 神聖な白馬 へびと戦士それは又 少年から大人への人生のもがき それは 困難のあとにだけ見つけることのできる ダイとニアムの美しい愛のストーリー。
【イントロダクション】
ダイ(主役)は田舎育ち。勉強よりも アイルランドの英雄ものや伝説を読むことが好きだった。彼は きちんとしたレッスンを受けたことはないけれどダンスがしたくて いつもリズムをとってステップしていた。
彼は父親とうまがあわない。父親は厳格で ダイが普通の仕事をえるよう望んでいた。ダイは 度々ダンスをするよう試みるが それはしばしば争いのもとに。そういう時は 母親がとりなすけれど 結局父親にはさからえない。
【伝説】
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「知識のシャケ」
- アイルランドにはたくさんの知識のシャケの言い伝えがある。それは 魔法の魚・神秘のマスとして。それを食べた者は たくさんの知識と 知恵を得られると 信じられている。
- 「ANU」
- それは ケルト神話のなかで 地の神々によって付けられた名。万物の母を 表している。
- 「MENANNAN」
- それはケルト神話の中で 海の王。
- 「PUCAS」
- 地下の生き物。
- 「Sleeping Warriors」
- たくさんの眠れる戦士の軍隊が 金の丘 Cnoc an oir を行進しつづける。彼らは100年ごとに目覚め ベルの音とともに 再び眠りにつく。
- 「EPONA」
- 絶望の時には その困難から人々を救ってくれるといわれる 白馬があらわれると言われている。その神聖な生き物の名は エポナ。
- 「Armagein」
- それはドルイド神話の中の守護聖人で 全ての高僧の中で最も賢くて 知識にたけている者。彼はいろいろなものに変装したりなりかわることができる と言われている。
(これを読んで な〜んだ主役が戦っていた相手は ケルト神話の魔物なんだと納得 どおりでわからなかったんだ)
ショーのはじまりは ミュージシャン6人のケルトっぽい演奏ではじまります。
そして 幕があくと 椅子でくつろいで新聞を読んでる父親と その後ろで いやいやそうに机に向かっている10才くらいの男の子が 舞台にいます。少年は それに嫌気がさしたという感じで リズムをとって勢いよく机をたたきはじめ そして 机を離れ ステップしはじめます。(子供のダンスは初めてだったので なんかすごいぞ〜と思う とてもうまかったです)すると父親の雷が。しぶしぶ机に戻る少年。次の場面では その机に座っているのが 成長した青年(主役のダイ)になっていて 同じことをして父親にどなられますが それがきかっけで家をでることに・・・。
ダイは母親に伴われて駅に。駅には女ダンサーが四角く列車になって待機してます。ダイが乗り込むと ダイも含めて みんなでステップしながら 舞台左から右に向けて 動きだします。女ダンサーはうでをまわしてそれがタイヤのようで 列車が動いてるという感じがほんとよく出ていました。
ダイは 都会についてその喧噪にのみこまれてしまうという感じで ボーッとしてます。ダンサーがそれぞればらばらの私服衣装で ステップを交えながらミュージカルふうのダンス 都会の生活を表してるという感じ。そして ニアム(相手役)と出会います。
場面はかわって ダイは車の修理の仕事を得たようで 車の下にもぐって修理をしています。そのときにラジオから音楽が・・・。足でリズムをとりはじめます。そこに ニアムがいつも一緒にいるギャングたちがやってきます。そこで ダイは そのギャングたちに ある家に忍び込んで金庫泥棒をしようと持ちかけられます。彼は 気が進まないけれど仕方なくついていきます。
ダイとニアムとギャングたちは 金庫をあけようとします。その金庫の上で なぜかニアムが 軽やかなダンス(LOTDのストーレンキス風)をします。(ニアムはちょっとおばかさんの設定なのかな〜?)しかしそのせいで床が振動してしまうのではじにつれてかれてしまいました。とうとうダイが金庫あけに成功します が そこが 実は世にも恐ろしいアンダーワールドへの入り口だったのです。そこでダイのみたものは 巨大な割れ目にはまってしまったニアムでした。ギャングは こわがって逃げてしまった。(裏切り者〜)
ここからが ダイとケルト魔物との戦いのはじまりです。(でも ボディーランゲッジと歌と 舞台横のスクリーンに映し出されるストーリーだけではちょっとわからず ダンスシーンも少なかったように思えて ちょっとうろ覚えです)
ダイの冒険に向けて ANU登場(女性シンガー)歌で ダイをはげまします。(ケルトっぽくない 力強い歌い方)この ANU役は ダイの母親役と同じ人です。
Armagein(上記参照 悪者)登場 ニアムとダイは ステップするよう命令されるけど 二人ともみごと失敗。
ANUが再び ダイの前にあらわれて エポナという白馬を与えてなぐさめる。 その白馬!!! この白馬の踊りがとっても最高でした。(ナンバーワン)一人で出てくるのですが 勢いよくステップしながら舞台に登場。その髪型は 頭のてっぺんにボリュームのあるくりくりのポニーテールで ほんとに馬のたてがみのよう。衣装は真っ白のミニのワンピースで 後ろの方がフリルがあつくてお尻がポコッとでててそれがいかにも おうまちゃんという雰囲気を醸し出しています。みてる人も楽しくてほっとしてしまうような 明るいかわいいダンスで 楽しそうに舞台を縦横無尽にステップします。合間合間に 横を向いて 足をたてに広げてジャンプして それはまるで 馬が走ってるみたいでした。手はずっとうしろで手をくんでいます。
その後も困難は続く。ドルイドの悪の城につれてかれたり 迷宮で迷ったり・・・
休憩時間
第2幕はパイプ演奏ではじまり(これがけっこう長い)
そして あの白馬エポナまた登場 ラブリーラブリーダンス!!そして エポナはダイを Menannan(海の王)のもとへ案内してくれる。ダイはそこで 知識のシャケと出会って 彼女から 知識のうろこをもらう。ダイは Menannanに なぞときをするよう命令されるが 最初は失敗する。でも うろこをつかって成功!初めての勝利。
次にであったのは へび。ダイは眠らされてしまう。そこに 眠れる戦士があらわれ ダイは攻撃される。彼はうろこを使おうと思ったけれど 落としてしまう。けれどそこでベルがなって 戦士は再び眠りについてしまった。
戦士たちのほとんどは いなくなったけれど ニアムをつかまえてる戦士がまだ残っていた。ダイは 知識のシャケのうろこをなくしてしまったのでぼう然としてしまった。それと同時に ダイは今の自分では 戦いに対する準備が十分でないと考え ひとまず退散する。彼は逃げるか 立ち向かうか決断しなければならない(あれ?ニアムは?)
ラジオからはなじみの曲が・・・そこで ダイは目がさめる。目をこすって不思議そうな顔をして。・・・今までみたものが 夢であってもそうでなくても ダイは 自分のするべき事をはっきりと悟った。
ダイとニアムは愛しあっていた。けれど 彼らの人生はダンスのためにある!そこで二人は 「To Dance on the Moon」の オーディションを受けて コーラスとして合格する。(へ〜 そうだったのか)しかし 彼らはスターになるだろう。
ここで 一気に 群舞のアイリッシュダンスがはじまります。(待ってました)観客もスタンディング・オベーションです。(ダンスうまい!そろってる!お見事)(なんか 単なるストーリー紹介の文になってしまったような・・・ケルト魔物との戦いの部分は ちょっと印象に残るダンスがあまりなくて・・恥ずかしいなあこのレポート)
見終わってみて 一番感じたことは ダンサー一人一人のレベルがめちゃめちゃ高い!ということ そして 見事に揃っていた!ことでした。安心して観ていられるんです。正直な話し 6月のスピリット・オブ・ザ・ダンスのことがありましたので まさか アイルランドのこじまんりした観光地の こじんまりした会場で あれほどの レベルの高いアイリッシュダンスを観られるなんてと思うほどでした。
主役のダイは 踊りはうまいのですが 表現力はいまいちかな〜ということと 少し体がぜい肉っぽいぷよぷよさがあったのが気になりました。ニアム役は とても細くて背の高いすらりとした感じで こちらは ジグ・リールともに とても身軽にしなやかにきれいに踊るなあって 思いました。(前日みたジョアンさんは ぱきぱきしてみえた)
あとなんといっても 白馬のダンスです。これだけでも このショーを観る価値があると言ってもよいくらいです。
素朴な会場 素朴な舞台 素朴な演奏でしたが ほんとにダンサーがうまかった!!リバーダンスにいっても大丈夫なくらいに。だからもう少しダンスシーンがあったらなって思いました。
そして会場を出ようとしたところ なんと!ダンサーさんたちが 観客をおみおくりしてるんです。一人のおばさんが サインをもらっていたので 私も ニアム役のリサ・アンダーソンちゃんのところに行って ずーずーしくサインをもらっちゃいました。「日本からきたの?楽しんでくれた?」と言ってくれたので 「もちろんです!日本にも アイリッシュダンスファンがたくさんいます」と応えるのが精一杯。周りには 他のダンサーさんたちもいたのですが みなさん おわった直後ということで 顔はあからんでいてほんのり汗もかいて 息もまだはずんでました。
もう一度みたいぞおって思わせるような ダンスの上手な暖かいショーでした。
(おわり)
(00.10.3追記) この作品、靴メーカーのAntonio Pacelli(「続・靴を買うのだ」を参照)がスポンサーに付いているようですね。オフィシャルサイトもあり、そこで引用されている劇評でも「Riverdanceとの相似(miniature)」という指摘と「EPONA(白馬)のダンスが大好評」と書いてありました。
ところで、けいとさんおみやげありがとうございましたー!!
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