コラム:平日半額を考える
「いまマックで平日半額やってるだろ」
「ハンバーガー65円ですもんね。あれ利益でてるんですか?」
「あのハンバーガーで原価だいたい40円弱くらいらしいよ。人件費とか入れてもぎりぎり赤字にはなってないんじゃない? チーズバーガーとかフィレオフィッシュなんかもっと利益幅大きいだろうし」
「コンビニでおにぎり買うより安いんですもんね」
「恐るべし藤田田(デン)だな。『金持ちラッパの吹き方』ってこの人の本があったけど、もう吹きまくってるんじゃないのかな」(2004年moriy注:IPOで創業者利益を思いっきり上げたあとに株価急落。最後まで勝ち逃げ人生でしたねえ)
「いま流行りの狂牛病とか関係ないんですか、あれ」
「ヨーロッパでは不安感で売上落ちたみたいね。日本で売ってるのはほとんどオーストラリアからの輸入らしいけど」
「ふーん・・・こないだテレビでサラリーマンの人たちがお昼マックしてるのやってましたけど」
「うむ、ずいぶん助けられたものだ」
「え、やっぱりmoriyさんも!?」
「だって考えてみ、ハンバーガー3個で税込み204円よ? ふつう3個も食えばもうやんなるだろ。昼飯代しめて204円」
「それだけですか? ポテトとかシェイクとか・・・」
「それが『田の思惑』じゃないか。ポテトだってドリンクだってあれ30円くらいのもんだぞ。それを140円とかで売ってるんだから丸儲けじゃん。売り方としてはうまいと思うけど、個人的には炭水化物と油のカタマリにそんなに金は出せん」
「ハンバーガーだってそんなに栄養あるようには・・・」
「少なくとも肉が入ってる分イモとコーラなんかよりはいいだろ」
「まあ、ねえ」
「ハンバーガー3個だけ、204円。最強の昼食メニューだと思わんか」
「でも毎日それってわけにはいかないでしょ?」
「ふっふっふ・・・・」
「?」
「それは2000年8月22日から31週間にわたって平日マックし続けたmoriyと知ってのセリフか」
「え」
「ジャンク王と呼んでもらおう」
「ジャンク王!?」
「実際には夏休みとか年末年始が入るからもっと少ないんだけどね」
「しかしなんでまた・・・」
「8月下旬にシェイク半額セールやってて、それにつられて入ってそれっきり。季節限定メニューが出た初日には浮気もしたけど、その他は常に半額メニュー」
「迷惑な客だなあ・・・」
「なーにをいうか。店内に居座ることもなく、毎回テイクアウトで小銭で支払い。繁忙時の経営効率化に貢献したくらいだ」
「でも飽きません?」
「と、思ったんだけどね。最初のうちはその価格がショックで、『じゃ、いままでボラれてたのか!』というウラミで続けてたんだけど、2週間もするとだんだん記録樹立を意識し始めてな。やめられなくなった」
「記録・・・」
「はじめは年内いっぱいのセールって話だったから、それで終わるだろうと思ってたら、年が明けても続けやんの。まいったな」
「しかし・・・」
「ギネスブックで登録してマイケル・フラットレーと肩を並べられないかな?」
「いや、もっとすごい人いるんじゃないですか? テレ東のTVチャンピオンで『〜王選手権』出るみたいな」(ローカルネタかな)
「最近ペプシのPeanutsボトルキャップキャンペーンにはまっちゃったから毎日ペプシでさ」
「またジャンク・・・」
「右手にハンバーガー、左手にダイエットペプシ。これでオッケーだよ」
「どこがオッケーなんですか」
「もう身体は8割がたアメリカ人だね」
「ああ・・・・」
「で、いまは続けてないんですよね?」
「うん」
「逆にその理由が気になるんですけど」
「こないだ電車の中で、延々『まくどなーるどー』って歌ってお母さんに怒られてる女の子がいてさ。(この文字にどういうメロディーを当てるかで世代がわかる)見たら『平日半額』の中吊り広告見て歌ってるのね」
「あの赤いやつ」
「で、なんかこんな小さな子供にまで浸透してるかと思ったらこわくなってさ。俺ら覚悟して食ってるからいいけど、あのスコッチブライトのスポンジみたいな肉がおいしいと思って食べる世代が育っているのかなあ、と」
「ええ」
「そう考えたら、それを半年以上も食ってる自分の味覚もおかしくなってるんじゃないかと思って」
「なってそうですね」
「で、マックリブとポテピリバーガーだけ試してやめた。もうしばらく食わんぞ」
「よかったですね。で、いまはどんなお昼を?」
「神戸らんぷ亭の牛丼並弁当290円」
「それ、ジャンク云々というより、ただの貧乏なんじゃないですか?」
「うるさい、デフレ大王と呼びたまえ」