コラム:咳のカオス理論
後ろの席に、咳きこむひと。
たいていは女子だ。
「けほっ」
「・・・・・・」
「けほけほっ」
「・・・だいじょうぶ?」
「うん・・・だいじょぶ。」
「・・・・・・」
「けほっ」
「・・・帰ったほうがよくない?」
「ううん、たいしたことないから、がんばれるよ」
「たいしたことなかったら、そんな聞こえよがしにセキすんな! このボケ!!」
いや、失礼。
咳ってかなり消耗するでしょ。体力的にも、精神的にも。でも、咳したところで、のどの腫れが治るワケじゃない。
・・・不快感は、わかる。
不快だから、「げほ、ん、かーっ」とかいって、のどに引っかかっている、用済みの粘膜をどうにかしようとする。でも、たいていどうにもならないからなおさらイライラするし、たまにどうにかなってもその処理に困る。
それなら無駄な努力をやめて、咳は飲み込むようにするってのは、どう?
浅田飴かなんか買ってこようか?
風邪って伝染病、ですよね。
その伝染病患者を隔離しないでほうっておくってのは、国の保健政策上、大丈夫なんだろうか。
風邪をひく。頭痛がする。のども痛い。
もしそのまま学校や会社に行くとする。
外を歩く。電車に乗る。部屋に入る。
その間どれだけの人にウイルスを与えることになるんだろう?
ボーッとしたアタマで何やったって、仕事ははかどらない。勉強も身に付かない。
→ そのうち感染した部署なり教室全体の能率が下がる。
→ ほどなくその会社なり学校なりの活動が行きづまる。
→ やがて地域全体が停滞してくる。
→ 当然、日本全体の生産性が落ちる。
→ 日本経済の沈下は世界経済に深刻な影響を与える。
いいのか? ひとりの風邪っぴきを放置したおかげで世界恐慌が起こっても。
・・・ねえ。
逆に言えば、いまここでゆっくり休んで、しっかり風邪を治すことで、世界を救うことができるのだ。
「というわけで、世界平和のためにきょうは休む。あとはよろしくな」
「ずるーい!!」