Beyond:マイケルとブランダンの会話(その5)
おひさしぶり、ツッチーさんfromシドニーのLOTD来日記念盗聴テープでーす。
いまやとどまるところを知らないハイパー・ノンストップ・マシンガン・タップ (なんのこっちゃ?) こと、われらがマイケル兄貴のロード・オブ・ザ・ダンスがついに来日しました。「俺はもうステージには上がらん」と豪語していたマイケルさんですが、いつものように会場にこっそりと潜入しているではありませんか。
ブランダン「いやいや〜、大盛況でしたね兄貴」
マイケル 「あのなぁ、チケットぐらい用意しておけってんだ」
「ちゃんと“ツッチー”と“とんがりやま”は解放しておきました。それにしても我々の変装、うまくいきましたね」
「moriyもまさか俺達がニセモノだったとは思わなかっただろう」
「ところで今日のステージですけど、どうでした?」
「日本公演は相変わらず入場料が高いな。ハンドスピーカーの案内と休憩室のタバコが気になったが、国際フォーラムってなかなか立派な会場じゃないか」
「そうですね、交通の便もいいし客席やステージの作りもしっかりしています。ただ音響についてはいろいろと意見があったようですね」
「あのボリュームだと両サイドのスピーカー付近のお客はつらかったろうな。正面でも一階席はかなり響いてたし。LOTDは、映画と同じように少し離れて鑑賞するのが良さそうだな。それよりも気になったのが“足パク”だ」
「足パク?」
「あらかじめ録音しておいたタップ音を重ねて流すやり方だ。これならマイクで音を拾わずにすむし、ダンサー達の失敗もない」
「あっ、なーるほど。でも反対にダンサーが転んじゃった場合、タップ音はしっかりと流れちゃうわけですよね」
「そういうことだな(おまえもやってたろ)。まあ、本人達のタップ音もちゃんと拾ってはいると思うが、歌も演奏もLOTDはかなりアコースティックの世界が省略されている感じだな」
「客席の座りごこちはどうでした?」
「おまえ気がついてたか?moriyは3回も観に行くそうだ」
「ホームページの管理人だからでしょ」
「そういうことじゃない。席順がすべて10列以降なんだ。あのmoriyですらかぶりつきの席が確保できなかったんだ」
「そういえば発売と同時に電話したと言ってましたね」
「これは今年のシドニーオリンピックでも問題になっているんだが、人気のイベントは発売開始時にはすでにいい席がなくなってしまっているそうだ」
「これっていわゆる“スポンサー様”ってやつでしょうか?」
「俺は紅白歌合戦に10年以上応募したが、当たったためしがないぞ」
「兄貴はそんなことやってたんですか!?」
「まあいい、ステージの前で名刺交換大会なんぞされちゃかなわんからな。そんな客に限ってノリが悪かったり、もともとダンスに興味がなかったりするんだ」
「兄貴、今夜は辛口ですね。それよりもかんじんなステージのこと話してくださいよ」
「見たまんまさ」
「は?」
「おまえ、あのプリンシパルにカリスマ性を感じたか?まるで星の王子様じゃねえか?」
「兄貴を知っているファンからすれば物足りないかもしれませんが、新しいファンにはきっと新鮮に映っていたと思いますよ」
「おまえがリバーダンスで好評を博したのはわかる。アイリッシュ・ダンス日本初登場でインパクトがあったし、リバーダンスもそれなりに芸術作品として完成していたからな。でも俺自身がこんなこと言うのもなんだが、LOTDはマイケル・フラットリーのダンスなんだ。タイトルだってそうなってるだろう」
「たしかに、リバーダンスは制作サイドの力というか、兄貴の強烈な個性が押さえつけられていたような感じもしましたね。デビュー当時のビートルズみたいに優等生のようにさせられちゃって」
「そんなこともあってLOTDを作ったってわけだ。moriyも俺抜きのLOTDはイマイチだと言ってたろ」
「そういえば、悪役の方が拍手が多かったような…」
「だったら主役もマスクをつけてやらせるか?」
「怪傑ゾロ風にしちゃいましょう。でも、それより兄貴が復活してくれた方がファンは喜びますよ。やっぱり兄貴あってのLOTDですからね」
「ブランダン、お、おまえ…(ぐっすん)」
「これから飲みに行きましょうよ。今夜は私がおごりますよ」
「負けねえからな」(カツン!)
「あっ、兄貴ずる〜い」(スタッ!)
「こらまて〜!」
「ハハハハハハハ」(カタカタカタカタカタカタ)
有楽町の繁華街に、怪げな二人の男が小刻みに消えていきましたとさ。
【ツッチーが見たLOTD】マイケル・フラットリーをRDのデビュー当時から応援されていたオールドファンの方々は、今回のLOTDをご覧になってこう感じていたのではないのでしょうか?
「なんかもの足りなかった…」
同感です。これまでマイケルに魅了されてきた数多くのファンは、絶対に等身大の彼をステージの中央に重ねていたはずです。あの汗、あの表情、あのタップ。久しぶりにあの頃の興奮がよみがえるかと思い、満を持して会場に乗り込んだツッチーでしたが、まるで再生ビデオを無音で聴いているような感じでした。観客を怒涛の渦に引き込んでしまうカリスマ天才ダンサー・マイケル・フラットリーはもうステージには帰ってこないのでしょうか?「兄貴〜!もう一度戻ってきてくれ〜」
ツッチーがもっとも彼らしさを感じる一瞬は、ウェスト・サイド・ストーリーよろしく敵のチームと向かい合った時のセリフ。
「Get his position !(やっちまえ)」
「おおっ、おっぱじまるぞぇ〜」という感じで、ワナワナと身体中の血液が沸騰してくるのです。(これは市販のビデオの中でも言っていたと思います)
「なんかかっこいいですね、「Get his position !」って」
「あのひとが言うとな」
「マイケルさまが」
「そう。そういやこないだ渋谷のHMV行ったら、LOTDの日本版ビデオが山積みになって、サンプルのビデオまで流してたぞ」
「売れてるんでしょうかね」
「なんか信じられないな。あの映像がそこらで流れてるってのが。・・・このツッチーさんのシリーズもヘタするとみんな読んでるぞ」
「読んでるぞ・・・って、読むためにページにしてるんじゃないんですか?」
「まあそうなんだけどさ。この洒落の分かる人が増えるのか、お叱りのメールが来るのかどっちなんだろう」
「このうえJean様&Colinくんの新シリーズでも始まったら、Riverdance再来日の頃なんか・・・」
「うーむ・・・」